徳田秋声の再評価か
鏡花と同じ紅葉門下で、浅野川べりの旧居跡近くに記念館が立つ徳田秋声(1871~1943)の影は薄い。ノーベル賞作家の川端康成は、秋声が1939年に第1回菊池寛賞に選ばれた際、「現代で小説の名人はと問はれたならば、これこそ躊躇ちゅうちょなく、私は秋声と答へる」とまで評価している。元芥川賞選考委員の古井由吉氏も「男女の日常の苦と、とりわけその取りとめのなさを描いては右に出る者もいない」と語るなど、プロの評価は高い。2月刊の佐伯一麦著『麦主義者の小説論』でも、秋声の<世間の塵労>を身にまとったすごみを伝えているが、人生をあるがままに描く地味な作風もあり、一般ではあまり顧みられていない。
<秋声の作品に光>読売新聞4月24日。
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