« 西日本文学展望 「西日本新聞」15年6月30日/朝刊/長野秀樹氏 | トップページ | 自費出版、小野寺苓さん(82)の『女の名前』が小学館文庫に »

2015年6月 4日 (木)

「外狩雅巳の世界2015」本の批判的反響から=外狩雅巳

 「外狩雅巳の世界2015」(文芸同志会・刊)は、詩人回廊の「外狩雅巳の庭」の自分説話を編集したものです。贈呈した人たちから感想が次々と到着中です。
 この本のメインは二つあります。外狩の手記と北一郎の作品解説兼文学評論です。
 一昨年からの年度ごとの発行中で北一郎は外狩作品を三つ取り上げて評論ています。
 「外狩ほど、小説において現代の社会思想の変遷を表現した作家を私は知らない」の基調で一貫する作品評群で浮上する同人作品評の現在と真の文学論を予感しました。
 が、私の受けた北一郎文への感想は期待はずれです。難解な文では無いのになぜだ!
 社会性・思想性・文体の三方向から作品を分析すると明言してもなぜ伝わらないのか。
 そんな読者との応答等を元にした北一郎文芸評論の不幸なる報告と説明を展開します。当人が伊藤昭一名で自説の連続解説を始めた機会に北一郎vs通俗読者観察連載をします。先ず手始めに北一郎評論への批判と不満の一端を披露し文芸評論の読み方に迫ります。
 北一郎文の難しさ
1、文体
 読みやすいのだが北一郎の自説展開へ引き込もうとする性急さが感じられるのだろう。息遣いから作者の対話性が薄く感じられる。読者の躊躇いに向き合う一呼吸が欲しい。
2、構成
 強調したいフレーズやエピソードとか著名作家等の引用が唐突感を含むのはなぜだろう。更に、繰り返し感が強く読者は論者の思考が整理されていないと思われる弱点があります。
 3、論理
 物語作品に親しんだ人は登場者に自身や自身の期待を重ねその読後感の濃厚さで読みます。
 北一郎が外狩作品の散文詩性格を指摘してもそこに興味が無ければ理解将とは思いません。
 北一郎作品評は読者を限定するもので説得力があったり感性が良い小説好きには不向きでしょう。
 理屈で読むのではなく、感情で読む読者は、自作の創作にもその基準を持ちいる事が多いでしょう。
 私の贈呈先は同人誌作家や読者が多いので趣味としての愛好です。理論好きの人は少ないのです。
 同人会の合評会も本当は印象の読書感想会に近いものです。屁理屈を展開すると嫌われます。
 とはいえ、その他には知人もいない私です。この仲間の同意・同感を集めるしか手は有りません。
 なので、北一郎論と対面出来る評論理解者は文芸同志会・伊藤昭一氏の配布先を頼りにしています。
 今後は私にも様々な返信が有るでしょう。それに即した北一郎評も展開してゆくつもりです。
■関連情報=「詩人回廊」〈北一郎の庭〉

|

« 西日本文学展望 「西日本新聞」15年6月30日/朝刊/長野秀樹氏 | トップページ | 自費出版、小野寺苓さん(82)の『女の名前』が小学館文庫に »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 西日本文学展望 「西日本新聞」15年6月30日/朝刊/長野秀樹氏 | トップページ | 自費出版、小野寺苓さん(82)の『女の名前』が小学館文庫に »