3年続いた個人年刊本「外狩雅巳の世界2013~2015」まで
文芸同志会で発2013年より毎年発行してた個人年刊本だが「外狩雅巳の世界2015」で、3年経った。文芸同人誌ではかつては、3号で終わるのが多く3号雑誌といわれたようだ。それに対して「外狩雅巳の世界」は、現在進行形で、資料としても今後活用できるスタイルになっている。これを累積すれば「外狩雅巳読本」制作の材料になる。外狩氏はその経過と現状を《外狩雅巳のひろば》で記している。個人本にいろいろ評判が伝わってくるというのは、それだけで大したものだ。同人雑誌仲間の「みんな」からの埋没を免れている。
こうした活動は、文芸同志会の文学は個人活動が大事という趣旨による伊藤の提案だが、それを理解した外狩氏の活動によって可能になった。会では、ほかの会員が私家版を制作を手伝っている。私家版だから身内や知り合いに配布するだけで宣伝をしない。中には二刷や三刷りしたのもある。
「外狩雅巳の世界」は、彼の過ごした時代が、世界の軌跡と言われた、日本の高度成長の初期段階から衰退し、資本主義が昔の労働者収奪型に変質するまでのサンプル として作品が使用されている。ドラマ「おしん」が世界でよく観られたというのも、その背後に高度成長し成熟化した日本の姿があったからだ。
人間は、渦中にある自分の時代の世界を客観的にみることができない。70年たつとやっとおぼろげながら、その姿が見えてくるかどうかである。
多くの同人誌作品をを読んで普通のサラリーマンの発想で書かれものも多く、それは特別な環境であることを無意識に示したものである。だからつまらない。外狩の場合、労働者意識を表に出した歴史の証言になる題材が多い。それが面白いと私は思って企画を考えている。
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