記憶の真実を記す「外狩雅巳の世界2015」発行にあたって
このほど「外狩雅巳の世界2015」を文芸同志会で発行した。《参照:文芸同志会のひろば》。これはブログで語る現在のなかに、過去の記憶が流れる川に突然浮かぶ漂流物のように姿を現す。作者の記憶の真実と現在が「外狩雅巳の手記」である。1942年に生まれ、中学を卒業すると丁稚奉公に出され、まず家庭から社会人となり、カルチャーショックの洗礼を受ける。無産労働者からの人生の旅立ちである。日本経済がどうようにして変化してきたか、それに寄り添った形で、自己所有の家と妻を得て家庭人になる。その社会と個人の関係が記憶の真実のなかに塗り込まれている。現在進行形の作品であるため、終わりの形がない。具体的には、その後の「詩人回廊」に記されているのだが、この作品化の完成形を決める要素として、積み残しをしたのは、編集人・伊藤の発想による文学化への形式の変化の可能性を残したということによる。
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