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2015年5月15日 (金)

文芸同人誌「なんじゃもんじゃ」遍路号・通巻19号(千葉市)

【「わが『残日録』あるいは『エンディングノート』小川和彦」
 大学の教授を退職後、同人誌の自家制作や家族の話、千葉から高知市への転居のいきさつ。78歳に至るまで活動が事細かにしるされていて、生活記録として、読み応えがあり、胸を打つ。小川氏には、以前から実生活から離れた文芸作品も発表してきた。それよりも、この記録の方が読んで面白い。だからといって、創作をするという精神性より必ずしも勝るというものではない、ということを感じた。やっぱり創作心というものには、精神の高貴さがふくまれるのでは、なかろうか。
【「迷走」杵淵賢二】
 刑事物で連載途中であるが、しっかりとした筆致の警察小説ミステリーを描いていおり面白く読める。
【「花のままで」坂本順子】
 若い女子社員時代に職場で、人間味あふれる上司が死の病に侵され、見舞いにいく。上司の奥さんのそれとない気づかいや、人生の儚さを巧みに描く。予定調和的な運びだが、書く方も読むほうも癒し効果がある。
【「雨宿」西村きみ子】
 夫を車で送り迎えし、自宅についたが雨が強い。夫は家に駆け込んだが、「私」は車庫入れして、雨の止むのを待つことにした。その間に、少女時代に父の生家を訪れた時、康夫という男の子がいて、一週間をともにすごし、寝床が隣になったことを想い起こす。その一夜の何事もなかった時間が、記憶に残っている。そして、夫の声で思い出のひと時から我に返る。ロマンを求める女心が意味深長な余韻をつくる。
発行事務局=〒781-8122高知市高須新町1‐1‐14、コーポ高須505号、小川方。
紹介者=「詩人回廊」北 一郎。

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