ロマンと現実・市民文芸家たちの「相模文芸」活動=外狩雅巳
相模文芸クラブの例会は月二回開催が軌道に乗り出している。ほぼ隔週に集まり討議している。
23日に四月二度目の会合が行われた。文芸同人誌「相模文芸」29号の作品合評等で三時間討議を持った。
小説作品と詩歌作品や随筆を組んで二作品の合評で瞬く間に過ぎ去ってゆくのも盛り上がりの証拠である。
本城確氏の小説「友」には様々な反応が有った。氏は文芸思潮のまほろば賞候補にもなった書き手である。
アルジェリアでイスラム武装勢力襲撃に逢う日本現地プラントの状況をドキュメントタッチで描いている。
過去の事実に沿って多少の創作を加えた氏独特の作風である。世情を語り憤慨するような意見も多かった。
作品終盤に実名政治家を出して官邸と政府の対応を取り上げ政治記事風に仕立てた事も論議になった。
これをプロパガンダと読み「傾向小説」との意見と該当部分を削除し生き様を書いた作品だとする論議である。
また、この機会に時代の行く末を語り合おうとの意見も出て政治経済と国際情勢に対象が広がり出した。
「相模文芸」誌の多くの作品はつましい日常にロマンを見つけ文体や構成を工夫し文芸作品化した物が多い。
しかし、そのロマンを超えて現実の激動が同人誌仲間の文学談義に影を落としていると実感した。
高齢者会員で構成された文芸同人会では築き上げた日本社会と国際環境へ発信する機会を狙っている。
となると、完成度に規制される文学作品ではなかなか生の意見発信は評価されないもどかしさを感じている。
それではどう構築すれば作品化できるのか。小説・詩とジャンル化された概念では発想が湧かない。
そんな作品未満の未完成文章と思えるものを編集して伊藤昭一氏(北一郎)が「外狩雅巳の世界2015」という本のなかで、市民文芸家の「手記」として文芸仕立てにしようとしている。
手記の集合でも編集次第で内実を築けると挑戦している。三年連続の出版で世に問う事にしている。
1億総評論家時勢に合う企画になれば相模文芸仲間にも読んでもらえるかもと期待している。
読書家の集まりでもある文芸同人会なので造詣深い口八丁仲間の世間話は延々と続きます。
これが一つの契機となって相模文芸誌の作品内容も本当の傾向作品が出現する可能性も期待できます。
6月完成の30号は15周年企画としてリレー小説を募集し掲載されています。
提起された前半部分に繋げ自分の作品に作り上げる掌編小説企画です。
これまでの各人の創作作品の集合体としての文芸同人誌から一歩進み始めています。
来年・3年後そして20周年には「相模文芸」誌がどう変容しているか楽しみです。
年度ごとのシリーズとなった「外狩雅巳の世界2015」は近日完成です。「相模文芸」20号と共に乞う御期待!
■関連情報《外狩雅巳のひろば》
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