第10回「木山捷平短編小説賞」に真野光一さん(67)
岡山県笠岡市は「木山捷平しょうへい短編小説賞」の第10回受賞作に、北海道小樽市、元会社員真野光一さん(67)の「本宮鉄工所」を選んだ。表彰式は3月8日、市保健センターで行われる。
受賞作は、本宮という男性が経営する北海道の鉄工所を若い女性が訪れ、亡くなった父親から墓碑に使うと聞かされた「鉄の本」を作ってほしいと、依頼することから始まる。
女性の父親は、北海道・積丹半島の現場で本宮が一緒に作業をした鉄工所の経営者。女性が見守る中、本宮は作業を進め、記憶をたどりながら、現場でのやりとりなどを女性に語る。
同賞は、小説「大陸の細道」などで知られる笠岡出身の詩人・小説家木山捷平(1904~68年)を顕彰して創設。今回は全国から237点の応募があり、予備選考で絞った30~80歳代の11点を文芸評論家の川村湊氏と、第1回受賞者の作家佐伯一麦氏が審査した。
2人は「鉄工所という仕事の現場がリアルに描かれている。文章の歯切れも良い」「冒頭から引きつけられ、短編として完成度が高い。無機質な鉄にかすかな情を通わせている」などと評価した。
真野さんは「初めての応募で、まさか受賞できるとは。高知県に住んでいた幼い頃、家の前に鉄工所があり、鉄製品に愛着があった。受賞は今後の励みになる」と話していた。(読売新聞2015年02月06日)
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