「文芸多摩」と「民主文学会」の関係を知る為に=外狩雅巳
日本民主主義文学会は戦後文学の潮流を受け継ぐ文学組織です。
敗戦直後に宮本百合子の「歌声よ起これ」の呼びかけが起源です。それを受けて結成されたのが全国組織「新日本文学会」です。
同時期に始まる「近代文学」との二つが現代文学の源流です。
民主主義文学会は解散した新日本文学会の主旨を受け継いだと称しています。
全国各府県には支部があり、東京・大阪などは多数の支部が存在します。
町田支部はサークル誌「文芸多摩」を毎年発行し今年で七号になります。
月例会を持ち結束の為の通信紙「文芸多摩通信」も10号まで発行しています。
昨秋には、町田文芸交流会に出席して来ました。2014年12月には第七号を完成させました。
巻頭の「七年目の帰京」は大川口支部長の青春回想小説です。
51年春に福島・阿武隈での戦時疎開から東京に戻る時期を切り取っています。
戦後民主主義の揺籃期の高校三年生が見た物や感じた事が中心です。
演劇部での反戦劇製作の経験や厳しい山仕事などでの成長記録です。
ひたすらで前向きな青年の心情とともに時代も良く描かれています。
読者に民主主義文学会を知らせる良い作品になっています。
「文芸多摩通信」9号の八嶋直武「里かぐらと秋風」も力作です。
小説評論の中で「普遍」と「典型」を判り易く解説しています。
民主主義文学会では平和と民主主義擁護を発展させそしてプロレタリア文学運動の成果を受け継ぎ発展させると唱っています。
その現状は各地の支部誌や活動に出会う事で理解できるでしょう。
90頁の「文芸多摩」第七号を読むと実社会と向き合う作品が多く掲載されています。
エッセイの作中には(悪の根源は絶対主義天皇制)などのベタな表現もあります。
多様な国民感情中には不同意もあり社会性のある文芸作品の完成度が問われます。
そのためにも多くの文芸愛好家との交流・討議を行う必要性を感じています。
民主主義文学会内部の行動から進んで交流会に参加した事を評価しています。
労働運動などの社会活動経験者がこうした文学での発言は貴重でしょう。
一般の文芸同人会との対話交流を続け相互理解が深まる事を強く望みます。
<参照:外狩雅巳のひろば》
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