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2014年12月 9日 (火)

著者メッセージ: 神田茜さん 『しょっぱい夕陽』

 「しょっぱい」は味のしょっぱい以外に、ちょっとイケてないとか、少しイタいという意味もあります。本人は精いっぱい、正直にやっているのに、そうなってしまう状態ではないかと思います。沈む夕陽に自分を重ね涙がにじむのも、日差しに耐えて頑張って生きてきたからでしょう。
  48歳は、誰しも立ち止まる年齢のようです。人生の折り返しをいつの間にか過ぎていたことを、肉体の衰えで知るのです。歩いてきた道はこの道で、目指す山はこの山で本当に良かったのか。もう下り道しか残っていないのかと、立ちすくむような年齢。
  今回書いた『しょっぱい夕陽』は、最初、実体験をもとに書き始めました。
 途中から登場人物たちが勝手に動いて語ってくれたので、私は彼らの声を忠実に聞きとることに努めました。だから、校正のために読み返しても自分の作品とは思えず、彼らの健気さにぐっときて何度も涙が出ました。スタバの大きなテーブルで、自分の小説に嗚咽をもらす、しょっぱいオバさんになってしまいました。切なくて笑ってしまうお話です。(神田茜)(講談社『BOOK倶楽部メール』 2014年12月1日号より) 


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