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2014年12月22日 (月)

著者メッセージ: 宇田川悟さん (『カトリーヌとパパ』翻訳)

  私が長く住んでいたパリ6区は文化人の多く住むエリアである。だから、大手書店からユニークな小型書店まで多様に揃っている。散歩がてらよく書店を覗いた。20数年前のある日、立ち寄った書店の児童書コーナーを眺めていたら、やや大ぶりな本が私の目に飛び込んできた。それが『カトリーヌとパパ』との幸せな出会いである。よく使われる料理人の言葉に、「出会った素材が調理してくれと言っている」があるが、それに倣えば、「その本が 私に翻訳してくれと訴えている」とでもなろうか。
  国民的な人気作家のモディアノは「モディアノ中毒」と言われるくらい熱心な読者がいる。そして、テーマとして「記憶」を執拗に追い求めており、「現代のマルセル・プルースト」とも呼ばれる。他の作品に比べて容易に読める本書にも「記憶」を巡る、少し哀しくて切ない物語が綴られている。だが、それらを通じて浮かび上がるのは、しみじみした温かい情感だ。「記憶」の持つ哀しさと温かさの両面を描いた秀作である。(宇田川悟))(講談社『BOOK倶楽部メール』 2014年12月15日号より)


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