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2014年12月 4日 (木)

12月号 早稲田大学教授・石原千秋 「未来」も一つの思想

永井愛脚本の「鴎外の怪談」(東京芸術劇場)を観(み)た。妻しげとの家庭生活の中で、大逆事件への森鴎外の関わりを書く工夫が凝らしてある。それはなかなかのアイデアだった。幸徳秋水らに死刑判決が出たあと、鴎外が時の権力者・山県有朋に直談判に行こうとして行けなかったところが最大の山場のはずだった。しかし、母親が長刀を振り回したり自害すると騒いだりするなどのお笑いでお茶を濁す無様(ぶざま)な展開で、ガッカリした。よくあるではないか。詩人が主人公なのに、その詩が示されないままで終わる通俗作品が。力量がわからない詩人に感情移入はできない。あれと同じだ。たとえどんな形であれ、鴎外自身の結論を書かなければならなかったはずだ。そこに脚本家の力量がはっきり現れる。永井愛はそこから逃げたのである。文芸時評12月号 早稲田大学教授・石原千秋 「未来」も一つの思想である

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