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2014年12月23日 (火)

平成26年文芸界「現代のひずみ嗅ぎ取る(産経新聞)

 ふと頭をもたげたのは筒井康隆さん(80)が自著『創作の極意と掟』(講談社)について語ってくれた言葉だった。
 「文学賞の選考をやっていて物足りないと思うのは小説としての『凄味(すごみ)』がないときですね。何か『ぞくぞくする感じ』というのかな。それがやっぱり一番大事だと思う」。現代のひずみを鋭く嗅ぎ取り、迫真性をもった虚構を築き上げる-。震災から3年が過ぎた今年、災厄「後」を紡ぐ作品に、そんな「凄味」を感じた。
 吉村萬壱さん(53)の長編『ボラード病』(文芸春秋)は、災害に襲われた海辺の町が舞台。避難生活から戻った人々は町の賛歌を声を合わせて熱唱し、絆の大切さを過度に確認し合う。息苦しいまでの同調圧力に覆われた町だ。「今の社会が極端になったらどうか、と。この小説には思考実験的な面もある」と吉村さんは言う。荒涼たる世界のようで、実は登場するのはいたって“普通”の人たち。この世界に震え上がってしまうのは、理解を超越しているからではない。どこかで現在と地続きだと感じるからなのだろう。。(海老沢類)
現代のひずみ嗅ぎ取る「凄味」ある作品(産経12.月22日)

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コメント

( ^ω^)おっおっおっ
そう、小説には凛然とする凄みがほしい。
ユーモアの凄み、愛の凄み、憎しみの凄みでもいい。
凄みですね。

投稿: 根保孝栄・石塚邦男 | 2015年2月 8日 (日) 18時45分

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