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2014年11月14日 (金)

佐藤裕の庭「詩人回廊」2013年(私家版)より

 「詩人回廊」の佐藤裕氏がこれまで発表してきた詩を年代ごとに集め小冊子にした。印刷の都合で、偶数ページにしないといけないので、ページの余るたびに北一郎の作品評を書いた。結果的にひとつのひとつの作品に焦点を当てるという試みになった。
これは佐藤裕「不倫の女」という作品。どういう視点で論じるか困ったが、結局このようなものになった。評論には対象作品とは別に、それだけで読める何かをつけろとよく言われるが、なかなか思い付かないものだ。
 鑑賞の視点~ 不倫の女  北 一郎(詩人)
 人間社会が家庭生活を営む構造であることから、不倫は異端になった。近代社会はマルクス主義による社会制度を問題視してきた。その後、人間社会にはそれ以前に構造的特性があると指摘し、構造主義に視点が移ってきた。詩人・佐藤裕は、この人間的構造の課題に果敢に挑む作詩をするようになった。リアリズム的なイメージをぶつけて、現代詩の課題を読者に突き付けている。愛の欠乏感と不倫への欲望。エクスタシーで小さな死を得る欲望は、それが死と隣り合わせの世界であり、永続不可能性を暗示している。本当の死は一回限りである。制御なき欲望の危機を表現している。
 俳優の石田純一は一九九六年に“不倫は文化”と発言し、しばらく仕事を失った。約八千万円の損失で困窮したことは有名。流行歌「フランシーヌの場合」(いまいずみあきら作詞)には“本当のことを云ったらお利巧になれないー本当のことを云ったらあまりにも悲しい”とあるが、これは人間の生きる構造を揺るがすからであろう。

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