「中部ペン」など、秋は同人誌発行最盛期。書く楽しみ=外狩雅巳
文芸同人会は年二回の同人雑誌を発行するところが多い。三回・四回も発行する会も稀にあります。
年の前半は春から夏にかけて発行し、後半に秋から冬に発行するサイクルが一番多いと思います。
九月になって手元にも徐々に同人誌が届き始めました。「砂」「なんじゃもんじゃ」「中部ペン」等です。
「砂」は文芸同志会の伊藤昭一代表も参加しています。126号には秘密保護法が文芸同人誌にどのように関係するかをテーマに時事評論を掲載しています。
「なんじゃもんじゃ」は千葉県で小川和彦さんが発行しています。関東同人誌交流会で知り合いました。
ほとんど手作りで安価に製作するのだと言っていました。今号は92頁もあり苦労も多いと思います。
「中部ペン」は伊藤氏からのを読ませてもらいました。地域の同人会の結集体が発行しています。名古屋を中心に53の同人会が参加しています。
文学賞を用意して多くの同人誌作家を励ましています。21号には授賞式・講演会等の写真も有ります。
掲載の掌編小説中に知己の宇佐美宏子さんの「春の泥」と西垣美幸さんの川柳作品もありました。
この二人は数年前【文学街文庫】で共著して以来ずっと文通を続けています。お二人とも年上です。
宇佐美宏子さんの「春の泥」は売春禁止法の発効した時の芸者置屋を舞台にした作品です。
高校三年の主人公が置屋での見聞が書かれています。叔母の経営する芸者置屋に入り浸る彼女は17才です。
芸者や半玉と共に稽古を受け化粧を覚えるのです。艶めかしい描写が各所にあり女性の視線を感じます。
少女から女になろうとする年頃の主人公の心境が描かれています。十枚の掌編小説全体に脂粉の香り一杯です。
作者と同年齢の主人公には体験も重なっているようで細やかな描写に感心しました。
いよいよ秋本番。「相模文芸」も編集作業中です冬には完成します。29号です。来年は15周年30号になります。
町田文芸交流会に参加する相模文芸会員四名も作品掲載していますので発行後は町田でも合評をします。
文芸同志会の伊藤昭一代表による精密で深い読みと分析があり、交流会が待ち遠しい気持ちです。
《参照:外狩雅巳のひろば》
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