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2014年10月31日 (金)

詩から小説へ 佐藤裕

  詩人回廊の「佐藤裕の庭」が活気をもちはじめた。今年は、過去の庭に掲載した作品を年代別に集め、私家版として冊子にしてきた。発行所は「文芸同志会」である。ページの合間には北一郎が解説をいれて文字数の調整にした。そこで指摘したのは、当初は、インスピレーションによる孤独なイメージの展開を軸にした詩風から、年代を重ねるごとに叙事的になり、具体的な人間関係を題材にするようになった。それも恋愛関係、家族の物語に移行していることだ。それがついには散文的な小説形式をとりはじめた。いずれも創作性が強い。詩から散文への移行となると、私的心象の表現になるのが自然と思っていた。それに対し、佐藤裕氏は小説的である。考えてみれば、井上靖なども小説的な散文詩から小説に変わった例もある。

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2014年10月29日 (水)

第33回詩人囲碁大会に参加 北一郎

 恒例の詩人囲碁大会に北一郎が参加してきました。今年は廣田國臣氏が優勝。わたしの指導をよくしてくれる山崎夏代さんが準優勝。清水正吾氏が3位入賞。清水さんは「幻竜」という詩誌を発行している。北一郎は清水さんには4目置いてどうしても勝てない。それでも昨年よりは少し良くなったかも。 「詩人回廊」記事・第33回詩人囲碁大会

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2014年10月28日 (火)

著者メッセージ: 辻村深月さん 『家族シアター』

  家族というのは、厄介なものです。
  一番身近で、あたたかい存在。頼りになるし、大好きで、大事な人たち。
  しかし、身近だからこそ遠慮がなくてイライラするし、他人とだったら やらないような衝突もしてしまう。見なくていいところまで見えてしまう せいで、かっこわるいと思うこともたくさんある。
  そして、自分でいくら悪口を言ったとしても、いざ他人から悪く言われると急に庇いたくなってしまう――家族というのは、そんなふうに、“大好きだけど、大嫌い”な存在だと思います。『家族シアター』は、そんな7組の家族が直面する事件を描いた短編集です。
  それは新聞に載るような大事件ではないかもしれないですが、当事者たちにとっては真剣そのものな大問題。いわば、家族内の“ささやかな大事件”です。
 「“大好きだけど大嫌い”な家族の“ささやかな大事件”」と書くと、矛盾 しているように感じますが、きっと、多くの家族の日常は、こうやって流れているのだと思います。
  ご自分の家族に引き寄せて読んでいただければ、とても嬉しいです。 (辻村深月)(講談社『BOOK倶楽部メール』 2014年10月15日号より)

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2014年10月26日 (日)

同人誌雑誌のある種の読み方・外狩氏の散文から

 町田市の文芸交流会で、同人誌掲載のエッセイなどを読み合っている。そのなかで外狩雅巳氏は「詩人回廊」で、良い味を味を出している。ジャングルと都会の組み合わせには、イメージ展開がユーモラスに出ている。同人としてではなく、部外者として読んでも面白い。エッセイなどは、もともと書くことで、自分の存在の姿を認識することに意義を認められる。それを他者が読んで、生きるている意味を意識するのは、有意義だと思っている。
 自分はそれらを、一つの散文としてジャンルを分けて読後感を述べてきた。そうすると、やはり普通の散文と、工夫を凝らした散文とは明らかに作品としての完成度に差がある。今後、良い散文をどのように書くかをテーマのひとつに上げたい。

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2014年10月25日 (土)

第46回新潮新人賞「指の骨」で戦争を書いた高橋弘希氏

 第46回新潮新人賞受賞作。高橋弘希「指の骨」は、「新潮」HPで「太平洋戦争屈指の激戦地となった南洋の島で兵士は何を体験したのか。圧倒的リアリティで選考委員を驚愕させた新世紀戦争文学。」と称賛するのも当然と思わせる作品である。選評を読むと、川上未映子、桐野夏生、中村文則、福田和也、星野智幸の各氏が全員認める作品。これだけの筆力があるなら、本格派の娯楽小説を書いた方が、売れるののではないか、とも思ってしまう。それでも純文学にエネルギーを費やすということを示したことは、おそらくよいことなのであろう。もしかしたら純文学と大衆小説の壁を取り払う作家になるのかも知れない。
「新潮」のHPで【高橋弘希氏インタビュー】なぜ「戦争」なのか、が読める。


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2014年10月24日 (金)

小説は読んでいる4、5時間の間『面白かった』でいい

黒川博行さん「読みのものキング」の直木賞受賞第一作は「後妻業」(読売新聞) 小説は読んでいる4、5時間の間『面白かった』でいいですやんか

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2014年10月23日 (木)

外狩雅巳氏の小説「足払い」(下)を穂高健一ワールドに

 外狩雅巳「足払い」を穂高健一ワールドサイトに公開しました。作品を随時「詩人回廊」北一郎サイトに掲載していく予定です。この作品は、外狩氏が大変気にいっているもののようです。
 おそらく、肉体のエネルギーを文章のなかで書ききったという充実感があるのでしょう。その意味では、たしかに文体にエネルギーが出ています。
 読者の読む作品感としては、現代社会における個人の閉塞感へのフラストレーションの表現の範疇でしょう。このようにひとつの作品について長々と能書きをつけられるのは、ネットの特性でこそ有効かなとも思います。
 三田文学の最新号での同人雑誌評が、かなりのページ数を費やしているのを読むと、商業誌でないから可能なのかとも思います。北の試みも一つの方法だ思います。ただ、北の評論のレベルの低さが外狩氏に気の毒で欠点ですが、逆にこれにたいする批判や反論のしやすさにつながれば、よいのではないか、という腹づもりです。

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2014年10月22日 (水)

穂高健一氏が師の伊藤桂一氏を語る

 穂高健一ワールドで作家・伊藤桂一氏を語る。自著「二十歳の炎」の周辺も…。

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2014年10月20日 (月)

日常の出来事と散文

 このところパソコンの調子が悪く、持ち込み修理調整で販売店サービスに出していたので、アップできなかった。店の人の話を聞くと、場合によっては面倒な修理で、すべてを初期にもどすかもしれないという。きいていて、あまり面倒ならば、もうパソコンはどうでもいいや、と腹を決める。そうしたら、あまり根本でなく、詐欺サイトかなにかか、カメラソフトのXP時代のものかなにかがあっての不具合らしく、1日で直りそうという。翌日取りにいけたが、2日後になった。
 このような話を同人誌に書け散文になるエッセイか、散文になる。エッセイは事実を題材にするが、それに夢想や妄想、思想を付け加えると散文になると自分は考える。「詩人回廊・外狩雅巳の庭」もそのようなものである。
 彼は「文芸交流会」で事務局をしている。そこで文学談義をしようということだ。そこに参加しているが、そのなかで、散文の意味やその技術的な話をしている。外刈氏の視点で同人誌作品を読んでわかったのは、同人誌の作品は散文が主体で、散文芸術としての評価が必要だということだ。同時に散文は芸術的にどこまで向上できるかが問題だと思う。

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2014年10月18日 (土)

鼎談「新 同人雑誌評」「三田文學」夏季号・2014.11.01発行

鼎談「新 同人雑誌評」伊藤氏貴氏・水牛健太郎氏・浅野麗氏
《今号で取り上げられた作品》
高橋亮「工場は、なんてすばらしいだろう!」(「米子文学」65号、鳥取県境港市)/山本文月「サンクチュアリ」(「ぱさーじゅ」30号、大阪市北区)/藤田みち「夏の峰」(「湧水」56号、東京都豊島区)/阿部千絵「夜の底」(「彩雲」7号、浜松市北区)/木戸博子「訣別」(「石榴」15号、広島市安佐北区)/朝岡明美「モウさんの嫁」(「文芸中部」96号、愛知県東海市)/各務麗至「おぼろづき」(「戞戞」63号、香川県観音寺市)/善積健司「タコ焼き買いに」(「あるかいど」52号、大阪市阿倍野区)/キム・リジャ「紙紐」(「ルーチェ」8号、三重県四日市市)/桂城和子「待つ女」(「グループ桂」70号、神奈川県鎌倉市)/山田文昭「踊る内視鏡」(「樹林」593号、大阪市中央区)/とうやまりょうこ「他人」(「孤帆」23号、横浜市西区)/小堀文一「湖畔落日」(丁卯」35号、埼玉県桶川市)/齊藤澄子「秘めごと」(「飛行船」15号、徳島県徳島市)/三澤章子「四つ葉のクローバー」(「橡」15号、群馬県伊勢崎市)/秋月ひろ子「観覧車の見える場所」(「小説家」140号、千葉県佐倉市)/森ゆみ子「迷妄の園」(「たまゆら」95号、滋賀県東近江市)/須藤薫子「クロッシング・ゲート」(「飢餓祭」39号、神戸市灘区)
「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめより)

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2014年10月17日 (金)

文芸同人誌評「週刊読書人」(14年10月3日)白川正芳氏

小池勇『ボート屋の手賀沼歳時記』(たけしま出版)、「法政文芸」10号より勝又由華「二十一時、ナースステーションへ」
「流浪」1号より薪田あお「遠望」
大森政市「乗馬クラブ「郷」(ごう)誕生記」(「ペン」9号)、中山みどり「金華山の見える街」(「連用形」34)、戸田鎮子「創刊二十周年の『じゅん文学』」(「中部ペン」21号)、潮田征一郎「聞こえなくなる」(「季刊午前」50号)、福島昭午「ヘラクレスは来なかった」(「人間像」184号)
<以上、俳句省略>
「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめより)

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2014年10月16日 (木)

西尾維新電子版『掟上今日子の備忘録』(講談社)で発売

 講談社は、10月15日、電子版『掟上今日子の備忘録』(講談社)を紙版の書籍と同時に発売した。これまで同氏の小説をコミカライズした電子化作品はあるが、小説では初めて。ファンからも電子化の希望が多かった西尾氏が電子版を刊行したことで、紙版の増売も期待される。電子版の価格は紙版と同じ1350円(税込)。現在、主要な電子ストアでキャンペーン価格で販売している。講談社から刊行されている「戯言」「物語」シリーズの電子化は未定。
《参照:大沢在昌氏が語る電子書籍時代=出版社との包括契約はまだ少ない

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2014年10月15日 (水)

文芸研究と情報の読み方

 この世界に情報はあふれている。それをどう読み取り、選択し、解釈するかが問題となる。現在、米国の世界的な情報収集機関が話題になっている。しかし、いくら多量の情報を集めても、意味を読み取れなければ、それはゴミである。情報はどこかに存在する。その原点を「文芸同志会のひろば」でイラク戦争についてまとめてみた。情報紙「文芸研究月報」を発行する際にその発行元として文芸同志会を結成した。それでこのほど、当時の原点になっていた資料からまとめたのがこれである。私は学生時代にレーニンの「帝国主義論」を読んでいて、そこで使われた統計資料がすべて、資本主義社会にて、公開されたものであるーーと書いてあった。そこから学んだ。メディアで公開されたなかから、文芸に関する情報を選んでいるうちに、(作家のニュースとコメント欄の作家インタビュー記事は、ウソとホントが混在しています)。
 一般的に重要と思われるものは小さく報道するか、あるいは情報がない。何かの印象を薄めるために、どうでも良いことを大々的に扱うという傾向があるのに気付いた。最近では、新聞休刊日の前日に起きたことに注意すると、わかることがあるのでは。ニュースがあるときに、メディアがなぜこのように扱ったのかを考える、ともうひとつ別の意味が読み取るヒントになるかも。知ったからといって、どうなるものでもないのですが、少しでも本当のことを知りながら、生きていたいというのが私の趣味なのかも知りません。手がかりは探せばあるものです。暮らしのノートは、ライブドアのPJニュース記者時代に、作らされたものですが、今は個人新聞的ブログになっています。
 

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2014年10月14日 (火)

外狩雅巳「足払い」を穂高健一ワールドに掲載

 外狩雅巳「足払い」を「穂高健一ワールド」に掲載しました。この作品の解説は、北一郎の庭で冒頭を一部を掲示してあります。《参照:「足払い」評論
 これは作者のこだわりのあるものなので、それに押されて北が評論をしたものです。作者がなぜそこにこだわるか、と評論とは別なので、そのこだわりの原因については、別途この欄でのべていくつもりです。作者のこだわりに読者がそれ付き合って読むというスタイルもあっていいのでないでしょうか。

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2014年10月12日 (日)

【エンタメ小説月評】(読売)胸に迫る「私たちの物語」

 津村記久子『エヴリシング・フロウズ』(文芸春秋)は中学校を舞台にするが、その世代を描く作品に多い、過剰な自意識をテーマにしない。メインとなるのは他者への視線、他者との関係性である。
 主人公は、いま一つさえない中3男子のヒロシ。物語の前半は、しょっちゅう腹を空すかせているヒロシの姿や、級友のヤザワとのしょうもない会話が絶妙で、何度も噴き出しそうになる。ところがやがて、イジメや家庭内の問題などが続々と顔を出して……。
 となれば、以降はすべて深刻な展開になりそうなものだが、そうならないところがすばらしい。ヒロシの腹の虫は相変わらず鳴るし、塾の宿題だって残っている。その合間を縫って仲間を助けるのだ。おっかなびっくり、でも、できる限りの力で。そうして子供たちは、自分の「身の丈」を伸ばしていく。誰かに信じてもらうことの難しさを知り、誰かを信じることの大切さを心に刻みながら。 【エンタメ小説月評】胸に迫る「私たちの物語」

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2014年10月10日 (金)

峠を越えて下り道の国力と文学「28歳の頃」の視点

右翼、左翼、ヘイトスピーチなど騒がしい世間だが、その遠因は日本経済が成長しなくなったことにあるのでは。以前は、あっても大きな騒ぎにならなかった。大資本力が拡大し、そのおこぼれが諸国民にわけられていた時代は、相対的に不幸なひとたちは比率が下がる。しかし資本の収奪力が薄まると、貧乏人から薄く広く収奪する。不幸な人たちのヒステリックな声の比率は上がる。商店がつぶれ、店主は自分が売っていたものをコンビニで買うしかない時代。外国人観光客を増やしたり、カジノをつくるのも、自国で富を生産しないで収入をはかる。他人まかせの経済を成長戦略とういうか。それと同じ視点での 小説「28歳の頃」(外狩雅巳)の評論「~~読み方・抄録」を北一郎「詩人回廊」での連載完了。

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2014年10月 9日 (木)

ネットでヒット太田紫織『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』

ネット小説ではファンタジーやホラー、恋愛ものが主流であり、書籍化されたものを見渡しても、ミステリ作品のヒットは珍しい。「エブリスタでは全く人気がなかった」と太田氏は語る。ネットで人気のものを紙で出すのがこのジャンルのセオリーだが、同作は違った。《新文化「衝撃、ネット小説の今」》
 角川書店(当時)は「キャラクター文芸」の部署を2011年に発足。「大人向けだがキャラクターが立っているシリーズもの小説」を模索していたところ、エブリスタと組んで行った新人賞で『櫻子さん~』と出会った。
 選考ではネット上の人気は度外視し、角川文庫のなかに入った時に長く支持されるかどうかを重視した。エブリスタの人気投稿者の多くは、スマホで閲覧するユーザーのことを考えて1ページあたりの文字数を400~500字程度にし、少ない分量だが高頻度で更新するスタイルを取っている。
 太田氏は逆張りだ。海外ミステリの影響を受けた文体は他のスマホ小説より描写の密度が濃く、ひととおり書き上げてから一気に投稿する。
 また、読者の反応も基本的には見ず、作品にフィードバックさせることも多くはないという。ネット小説家というより従来の作家に近い作風と佇まいであり、それが角川文庫というアウトプット先とフィットしたのだろう。

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2014年10月 7日 (火)

自費出版のなかの同人雑誌の利点=外狩雅巳

林真理子氏の朝日新聞連載小説「マイストーリー 私の物語」の進行に合わせ感想や意見などを続けています。 作者は自費出版社員を主人公にして業界の内部と様々な客を提示しています。
同人雑誌の会の一員として新聞小説から離れ文芸同人会世界を書いておきます。
自伝であれ日常点描であれ書きたい人は多いと思います。同人会で書く人もいます。
仲間で雑誌にすれば小品でも詩でも集めれば一冊の分量になるからです。
安価に掲載でき愛好会仲間との交流も楽しめる事も同人会のメリットです。
長編の自分史でも連載で発表出来ます。纏めて一冊の本にする人もいます。
 私たちの「相模文芸」誌では原稿用紙二枚半でⅠページとして千二百円の掲載料です。
 五百枚の自分史作品でも24万円で発表出来ます。仲間の感想も貰えます。
 印刷所に頼めばデータが有るので追加15万円程度で立派な本になります。
 計40万円程度でこれだけの楽しみが得られるのです。同人雑誌の利点です。
 会員は30名以上なので月会費千五百円で月二回の合評会も出来ます。
 公民館を無料で使用します。メールでの事務連絡費が経費の大半です。
 年に30万以上が余ります。これを発行補助費として使用します。
 三百頁の雑誌を二百部で50万円以上で出版します。掲載料は35万集めます。
 なので頁あたり千二百円の作者負担となるのです。雑誌は有効使用します。
 同人雑誌作品評を行う処や知人などへも行き渡ります。販売もします。
 合評会では一作品一時間以上全員感想が寄せられます。短い作品でも行います。
 例えば、30枚程度の短編小説を毎号二万円弱で十回掲載誌後の本にします。
 カバー付き帯付の装丁で見栄えのある多色刷り表紙にすれば立派になります。
 仲間や文芸評論家の作品評等を巻末に付ける事も良くある例です。
 これを読んだら専門の自費出版業者になど頼まない人が増えるでしょう。
 四分の一の出費で同好会で楽しんだうえで立派な自費出版本も作れるのです。
 文芸同人会に加入し大いに仲間作りと文学談義を楽しんでください。
 仲間からの作品評満載の自費出版文芸書は世界に一つだけの宝になりますよ。
《参照:外狩雅巳のひろば


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2014年10月 6日 (月)

西尾維新ですー新作『掟上今日子の備忘録』発売のコメント

 新作『掟上今日子の備忘録』が発売の運びとなりましたので、ご挨拶させて いただきます。
 久し振りのミステリーですね。それも探偵ものです。先日、おかげさまで完結いたしました物語シリーズの真逆を目指しました。結果、今まで書いたこ とがないタイプの小説になりました。しかしながら、そうは思えないくらい、今日子さんは書いていて楽しいキャラクターだったのです。同じくらい、読んでいて楽しいキャラクターになっていればよいのですが……、最速の探偵にして忘却探偵、掟上今日子さんをよろしくお願いします。
 ちなみに現在は12月発売予定のメフィストに向けて、『人類最強の熱愛』を執筆しています。請負人と忘却探偵も結構対極ですね……いつか最強と最速の戦いを書きたいものです。
 意外と意気投合するのかも……。<西尾維新>(メールマガジン「講談社ミステリーの館」2014年10月号より)

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2014年10月 5日 (日)

村上春樹さんに独紙「ウェルト」文学賞

 10月4日付のドイツ紙ウェルトは、同紙の「ウェルト文学賞」を作家の村上春樹さんに対し、11月7日にベルリンで授与することを明らかにした。
 ウェルトは村上さんを「最も重要な現代作家」と称賛。授賞理由について、村上さんが作品で「魔法のようなリアリズムを用い、日本の大都市に住む人々の精神状態を表現した」と述べた。
 同賞は1999年に創設された。これまで米国のフィリップ・ロスさんやイスラエルのアモス・オズさんらに授与され、日本人では村上さんが初めて。賞金として1万ユーロ(約140万円)が贈られる。
(2014年10月4日共同通信)

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2014年10月 4日 (土)

「中部ペン」など、秋は同人誌発行最盛期。書く楽しみ=外狩雅巳

 文芸同人会は年二回の同人雑誌を発行するところが多い。三回・四回も発行する会も稀にあります。
 年の前半は春から夏にかけて発行し、後半に秋から冬に発行するサイクルが一番多いと思います。
 九月になって手元にも徐々に同人誌が届き始めました。「砂」「なんじゃもんじゃ」「中部ペン」等です。
 「砂」は文芸同志会の伊藤昭一代表も参加しています。126号には秘密保護法が文芸同人誌にどのように関係するかをテーマに時事評論を掲載しています。
 「なんじゃもんじゃ」は千葉県で小川和彦さんが発行しています。関東同人誌交流会で知り合いました。
 ほとんど手作りで安価に製作するのだと言っていました。今号は92頁もあり苦労も多いと思います。
 「中部ペン」は伊藤氏からのを読ませてもらいました。地域の同人会の結集体が発行しています。名古屋を中心に53の同人会が参加しています。
  文学賞を用意して多くの同人誌作家を励ましています。21号には授賞式・講演会等の写真も有ります。
  掲載の掌編小説中に知己の宇佐美宏子さんの「春の泥」と西垣美幸さんの川柳作品もありました。
  この二人は数年前【文学街文庫】で共著して以来ずっと文通を続けています。お二人とも年上です。
 宇佐美宏子さんの「春の泥」は売春禁止法の発効した時の芸者置屋を舞台にした作品です。
 高校三年の主人公が置屋での見聞が書かれています。叔母の経営する芸者置屋に入り浸る彼女は17才です。
 芸者や半玉と共に稽古を受け化粧を覚えるのです。艶めかしい描写が各所にあり女性の視線を感じます。
 少女から女になろうとする年頃の主人公の心境が描かれています。十枚の掌編小説全体に脂粉の香り一杯です。
 作者と同年齢の主人公には体験も重なっているようで細やかな描写に感心しました。
 いよいよ秋本番。「相模文芸」も編集作業中です冬には完成します。29号です。来年は15周年30号になります。
 町田文芸交流会に参加する相模文芸会員四名も作品掲載していますので発行後は町田でも合評をします。
 文芸同志会の伊藤昭一代表による精密で深い読みと分析があり、交流会が待ち遠しい気持ちです。
《参照:外狩雅巳のひろば

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2014年10月 3日 (金)

同人誌季評 「毎日新聞」西日本地域版14年9月21日古閑章氏

「毎日新聞」西日本地域版2014年09月21日(日)朝刊「同人誌季評」<小説>7~9月古閑章氏筆
題「農の希望 現実凝視の迫力と強さ」
矢和田高彦・三好哲彦「山羊のいる風景」(『文芸山口』第315号)、有森信二「白い翳」(『海』第12号)、吉武慈操「農業の機械化農業化がもたらしたもの」(『群青』第15号)
立石富生「じいじ、海へ」(『火山地帯』第178号)
納富泰子「蛇苺の紅」(「KORN」第3号)、野上佐和子「呪縛」・潮田征一郎「聞こえなくなる」(『季刊午前』第50号)、高岡啓次郎「断崖」(『海』第12号)、諫山男二「棄民」(『群青』第15号)、柳原忠行「暗い海」・樋渡喜美子「七番ホーム」(『佐賀文学』第31号)、あびる諒「エロ仏陀」・志垣功「チョコ」(『詩と真実』第782・783号)、木島丈雄「おれは翌朝旅だった」(『九州文学』第26号)
「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめより)

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2014年10月 2日 (木)

文芸時評10月 早稲田大学教授・石原千秋 言葉へのこだわり

 田中慎弥「宰相A」(新潮)は、昭和初期に流行した〈小説が書けない小説家の小説〉の体裁を利用した、反米小説にして反戦小説にして反帝国主義小説でもある。アメリカ人が「日本人」となって、日本人は「旧日本人」と呼ばれる。しかし、「宰相A」だけはなぜか「旧日本人」で、平和主義を標榜(ひょうぼう)しながら、現実には日本人が拷問を受けている。アメリカが日本を「五一番目の州」とはせずに、「占領」が続いたらこうもなったろうという悪夢である。現在の一部の日本人を精神分析したらできあがった世界のようでもあり、いろいろな意味で問題作だ。
産経ニュース文芸時評10月号 早稲田大学教授・石原千秋 徹底した言葉へのこだわり

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2014年10月 1日 (水)

西日本文学展望「西日本新聞」14年09月30日長野秀樹氏

題「切ない物語」
貴田馨さん「レモンティの向こうには」(「九州作家」128号、北九州市)、納富泰子さん「蛇苺の紅-愛しい人たち・断片-」(「KORN コルン」3号、福岡市)
「九州文学」第七期27号(福岡県中間市)より阿賀佐圭子さん「白蓮-燁子の生涯」・由比和子さん「前原宿応接異聞」、「周炎」54号(北九州市)より山村律さん「お爺捨て山」・若杉妙さん「ちゃんぐりん わっしょい」・暮安翠さん「カリブ島の二日」
「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめより)

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