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2014年10月 9日 (木)

ネットでヒット太田紫織『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』

ネット小説ではファンタジーやホラー、恋愛ものが主流であり、書籍化されたものを見渡しても、ミステリ作品のヒットは珍しい。「エブリスタでは全く人気がなかった」と太田氏は語る。ネットで人気のものを紙で出すのがこのジャンルのセオリーだが、同作は違った。《新文化「衝撃、ネット小説の今」》
 角川書店(当時)は「キャラクター文芸」の部署を2011年に発足。「大人向けだがキャラクターが立っているシリーズもの小説」を模索していたところ、エブリスタと組んで行った新人賞で『櫻子さん~』と出会った。
 選考ではネット上の人気は度外視し、角川文庫のなかに入った時に長く支持されるかどうかを重視した。エブリスタの人気投稿者の多くは、スマホで閲覧するユーザーのことを考えて1ページあたりの文字数を400~500字程度にし、少ない分量だが高頻度で更新するスタイルを取っている。
 太田氏は逆張りだ。海外ミステリの影響を受けた文体は他のスマホ小説より描写の密度が濃く、ひととおり書き上げてから一気に投稿する。
 また、読者の反応も基本的には見ず、作品にフィードバックさせることも多くはないという。ネット小説家というより従来の作家に近い作風と佇まいであり、それが角川文庫というアウトプット先とフィットしたのだろう。

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