著者メッセージ: 小松エメルさん 『夢の燈影』
自身初の単行本となる『夢の燈影』が、9月16日に刊行されます。本作は、これまで光の当たることが少なかった新選組隊士たちを主役に据え た、連作短編集です。
幹部の身でありながらずっと故郷に帰ることを考えていた者や、間者の疑いをかけられ居場所をなくした者、周りに流され段々と堕ちていった者など、近藤や土方らといった華々しく活躍した隊士たちの陰で、彼らは悩み、苦しみながら生きていました。
武士になりたいという確固たる意志を持っていた近藤たちからすれば、彼らの葛藤は取るに足らぬものと映ったかもしれません。しかしながら、彼らも近藤たちと同じように、「新選組という夢」を抱いて生きていたのではないかと私は考えています。
夢を抱いて生きることは、楽しいばかりではありません。努力をしても、報われないこともあるでしょう。挫折し、心傷つくことも多かったと思います。それでも彼らはそこで生きていくと決めました。
彼らが抱いていた夢は何だったのか、果たしてそれは叶ったのか――そんなところに注目しながら読んでいただけると嬉しいです。 (小松エメル) (講談社『BOOK倶楽部メール』 2014年9月15日号より)
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