林真理子「マイストーリー」と同人誌作家自費出版=外狩雅巳
朝日新聞朝刊に連載中の林真理子「マイストーリ」が百回を超え佳境に入っています。自費出版を手掛ける出版社の社員の視点で描かれている。業界内部も興味深く読んでいます。
自費出版を行う人々とそれを商品化する実情も掘り下げています。しかし、ひとつ疑問を持ちました。自分史などを自費出版する人たちと同人誌での書き手との関連が出ていません。
文芸同人誌に加入して作品発表をする人たちの大部分は自費出版を行っています。小説作品を多数掲載したら冊子にして纏めるのです。これは自分だけの作品集です。
このような同人誌作家の中から文学賞受賞作者も生まれています。プロ作家も出ています。詩歌や論評で冊子を作る者もいます。詩集・歌集はかなりの数だと思います。新聞小説で登場する書き手は今のところ、自分史の書き手です。
全国には文芸同人会が千以上あります。短歌等の結社も多数あります。このようなところで活動する人たちが登場しません。すこし不思議に思っています。
文芸同人会・結社などで常日頃創作を続けて筆力を鍛えた人こそ自費出版の主力と思っていました。
そのような経歴が無い人がいきなり自分史を書くのは大変な事だと思います。口述を纏めて作品化する専門家に頼む事も書かれていますが自分の筆力で書く作者を余り登場させません。
林真理子氏の視界には同人誌作家は無いのでしょうか、それとも除外しているのでしょうか。
朝日新聞小説の読者はどう読み取っているいるのでしょうか。意見も有ると思います。図書館などではコーナーを設けて自費出版本を並べています。かなりの数量です。
作者紹介の欄には結社や文芸同人会での活動歴と受賞歴が紹介されています。著名なプロ作家も本心を書く為に自費出版を行っている例もあります。
文芸同人会の会員である私から見るとこのような意見も出るのです。この新聞連載はまだまた続きそうです。今後も興味深く読み進めます。
《参照:外狩雅巳のひろば》
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コメント
外狩様 貴殿のご意見、興味深く拝読しました。ご指摘なるほどと思いました。
しかし新たな疑問がわきました。同人誌に掲載する同人は小説や詩歌俳句が主流で、自分史を掲載しているのはごく少数派ではないでしょうか。
小生も過年度自分史を自費上梓しましたが、それはカルチャーセンターの自分史講座で綴ったものでした。
実際、自分史の多くが、そういうたぐいの講座を通じて書かれたもののようです。
小生の場合、自分史を同人誌に掲載する気になれません。枚数も多くなりますし、自分史は小説より一段下で、文学的でないと考えているのかもしれません。
投稿: | 2014年9月13日 (土) 09時19分