ネットでコミック無料公開の理由
出版社のKAカDOドKAカWAは、「コミックウォーカー」と名付けたウェブサイトを3月にスタートさせた。「新世紀エヴァンゲリオン」などの人気作を含む約200作が無料で読める。月間100万人程度の読者の獲得を目指す。
大手出版社が自社のサイトで、漫画の単行本の1巻目などを無料公開する動きも出てきている。
なぜ、無料提供できるのか。
出版社側は「ネットである程度、無料で読んだ後に紙の単行本を買う人が増えつつある。無料購読をきっかけとするビジネスの可能性は大きい」とみる。ネット上の無料購読は、書店での「立ち読み」の役割を果たしているわけだ。
昨年の漫画の単行本の売上高(同研究所調べ)は前年比1%増の2231億円とプラスだった。漫画雑誌の売り上げが減り続けているのとは対照的で、「立ち読み」効果も出たとみられる。
コミックウォーカー事業局統括局長の渡辺啓之さん(45)は「(10月にKADOKAWAと経営統合する)ドワンゴが得意とする動画配信など、複数のメディアをまたいでマンガ関連の事業を展開できないか考えたい」と意気込む。
ただ、漫画の無料配信も一定のコストはかかる。単行本の販売と合わせて安定的に利益を出しているケースは少ないとみられる。
紙の漫画雑誌の販売部数は減り続けている。《読売新聞・ネットでマンガ無料公開》
少年向け漫画雑誌の草分けである週刊少年マガジン(講談社)の発行部数は、1990年代には400万部を超えていたが、現在は約125万部だ。出版科学研究所によると、国内の漫画雑誌の販売額は、95年の3357億円をピークに、2013年には1438億円に落ち込んだ。
一方で、マンガボックスのように、期間や分量を限るなどしてネット上で漫画を無料公開するサービスが相次いで始まっている。
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