「早稲田文学」が季刊で定期刊行
文芸誌「早稲田文学」が、7日発行された2014年秋号から季刊化され、9年ぶりに定期刊行される。
同誌は1891年、東京専門学校(早大の前身)で教えた坪内逍遥しょうようが創刊した。休刊や復刊を繰り返し、2005年5月号で定期刊行をやめた。07年に復刊準備号を出し、復刊後は不定期刊ながら川上未映子さんが登場、同誌の新人賞でデビューした黒田夏子さんが芥川賞を受賞した。筑摩書房に流通・販売を委託することが決まり、季刊化に踏み切った。
市川さんは、「売れなければ扱わない。売れなければ、メディアミックスしない……。この10年で読者や出版社、ある意味では創作者も『商業化』が進んだ。異なる文学の文脈や地盤が必要だと思う」と、大学の支援も受ける文芸誌の意義を語る。
秋号には、ノーベル賞作家、J・M・クッツェーの「イエスの幼子おさなご時代」など多くの翻訳作品や、新鋭の松田青子さんの小説を掲載。さらに、特集「新世代の幻想文学」も、純文学の伝統を持つ同誌としてはユニークだ。怪奇文学に詳しい東雅夫さんが参加した鼎談ていだんや、すばる文学賞を受賞した新人澤西祐典さんや歌人の雪舟えまさんらが挑んだ幻想的な作品などが並んだ。
市川さんらは、第一線の文学者による編集委員制度の導入も計画している。(文化部 待田晋哉)「早稲田文学」季刊」(2014年08月18日 08時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun )
| 固定リンク
コメント