「さくさく」第59号・「文学市場」のいま =外狩雅巳
文芸同人誌 「さくさく」第59号の編集後記(坂本和子)には、次のようなことが記されている。――(前略)声はストレートに響きますが、文字になった言葉はなかなか伝わりません。
それなのになぜ文字に刻み、言葉を表すのでしょうか。それは、文字によってしか伝わらないものがあるからです。文字によってしか伝わらないもの、それはあなたが今書こうとしているその文章です。――
小説17編、随筆5編、評論等3編。304頁に詰め込まれた作品群は圧巻です。
たとえば小説の戸田哲也「コスモス」は、 幼いころから好きだった女友達の事を書いた作品。彼女の夫に剣道を個人指導された私。
その美恵子が突然亡くなる。祭壇に飾られた遺影と湖をみた私は夫が沈めたと確信する。愛する妻を湖底に沈めた夫への疑惑。ミステリーを残した余韻に感心しました。
「さくさく」誌は、年三回刊の活発な活動を行なう文芸同人会「文学市場」の会員は創作意欲が盛んである。(発行所=東京都台東区三筋1-4-1-703 「文学市場)
その上息の長い連載をする人もいる。読書感想と映画紹介の二つを30回以上続ける例もある。
池袋勤労福祉会館を例会拠点に東京で活動する地の利も有ろう。若者も多い会である。
坂本代表が(旧新日本文学学校)文芸学校講師なので受講生からの入会も有るのだろう。
三十年前に私は池袋で「慧の会」と言う同人会を行っていた。その時以来の交際である。
私が相模原市に転居「慧の会」会員の半数は「文学市場」に移り活動している。
■関連情報《外狩雅巳のひろば》
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