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2014年7月15日 (火)

木内是壽「梅谷庄吉の辛亥革命」(「相模文芸」連載)を読む

 「相模文芸」25~28号に連載の木内是壽「梅谷庄吉の辛亥革命」全四回を読んだ。 四百枚近い評伝大作。中国の清朝が倒れた辛亥革命と梅谷庄吉の関係を書く。キーワード事に説明調に読みやすく書き繋ぐ方法で孫文との関係中心に構成。梅谷庄吉の生涯記として進めている点でも読みやすく成功している。調べた事を自己流に系統立て、何々であると言った易しい文章も成功の一つ。2011年が辛亥革命百年なので多くの研究書が出回ったのも幸いしている。さらに、今年の二月二十六日テレビ東京で「たった一度の密約」が放映。中国問題は関心が多いので会の内外に愛読者もあり当方にも感想が来た。読売新聞西部本部刊行の「梅谷庄吉と孫文」の記述が多用されている。
 但し、著者流文体にしたり他の引用と混合させたりして独自色もある。とくに、読売版中の久保田文次氏(日本女子大)の記述が酷似していた。
 文芸同人誌のサークルで二年間にわたる連載も幸いしたと思う。文芸同人誌なので物語性が求められる傾向が評伝を好位置にした。高齢者の研究熱心を反映して近年、相模文芸誌は評論や随筆が増えた。
 250~300頁の同人雑誌の半分以上が随筆と評伝・評論類である。しかも真面目な書き方で良質。専門性・調査・時節向き等である。相模原市は図書館も充実している。二十の公民館にも図書室がある。
 隣接の町田市に行けば文学館もあり研究者には良い環境だろう。各著者は次号以降も更なる発表を表明している。意気軒昂である。
「相模文芸」発行所・相模原市南区古淵6-28-37 (有)蒼史堂印刷。
 ※辛亥革命と梅谷庄吉の時代は日本では労働者等の無産者階級が興隆した時期である。米騒動・娘の売買・労働争議・小林多喜二・大杉栄。そんな発想が相次いだ。
  ロシア革命の影響で政治・経済・文学・思想・哲学等の分野が賑わった時期である。梅谷庄吉がそんな日本国内の情勢をどうとらえていたかに大いに興味を持った。
  右翼・大陸浪人の名が多く出るのに左翼的な著名人の名は皆無である。という事は、推して知るべし。日本的な革命解釈。偉人伝記。嫌中・嫌韓。梅谷庄吉と孫文を日中友好の建機に出来ないものか。(外狩雅巳・記)
《参照:外狩雅巳のひろば


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