著者メッセージ: 霜月蒼さん 『アガサ・クリスティー完全攻略』
本が好きな方で「アガサ・クリスティー」の名前を知らない、という方は いないのではないでしょうか。『オリエント急行の殺人』『ABC殺人事件』『アクロイド殺し』、このうちどれかを読んだことがある、という方もたくさんいらっしゃると思います。
しかし『五匹の子豚』となるとどうでしょう。あるいは『NかMか』や『死の猟犬』、『カリブ海の秘密』や『終りなき夜に生れつく』は……? 読んだことがある、という方はぐんと減ってしまうように思います。ところが、いま挙げた名前の知られていないクリスティー作品は、有名な名作たちに負けない傑作なのです。いや、僕のみるところでは、そんなマイナー作品のほうが今読むと素晴らしいように思えます。
アガサ・クリスティーの小説は、聖書やシャーロック・ホームズの次に多くの読者がいるといわれています。なのに巷で紹介されるのは、ほんの3、4作。日本で刊行されているクリスティーの作品は99もあるというのに――! ならば果たして、残る95冊はおもしろいのだろうか、そうでないのだろうか?
このたび刊行された『アガサ・クリスティー完全攻略』は、そんな疑問にお応えする一冊です。クリスティー作品全99作の書評が収録されています。
全作品に5つ星満点で点数をつけ、書評本文でネタバレは一切おこなっていませんので、クリスティーをまったく読んでいない方に使い勝手のよい体裁としました。全体を通読いただけば、「クリスティーとはどういう作家だっ
たのか」が見えてくる構成を心がけました。ちょっと高価な本ですが、書評1本あたり30円弱ですので、そのぶんの価値はあるのではと思っております。アガサ・クリスティーのファンの方はもちろん、ミステリに興味のある
すべての方にお読みいただければ幸いです。 (霜月蒼))(講談社『BOOK倶楽部メール』 2014年6月1日号より)
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