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2014年6月 6日 (金)

総合同人誌「岩漿」22号(伊東市)

【論文ニーチェ要約「能動的ニヒリズム」財津公江】
 著者は55歳で、慶応大学の哲学科の通信制に入学し、学んだものを卒論にしたものだという。学問というものは、人生経験を積んでから学ぶと、これほどまでに、問題を手元に引きつけて考察できるものかと、感銘を深くした。ニヒリズムの解釈に深さがある。北一郎が評論を書く場合は、参考引用させてもらいたいと思うほど、よく解説されている。
【「冨有柿」椎葉乙虫】
 前号でかなり長いミステリーを読んで(たしか日銀の桜通りでの事件だった気がする)、考えているうちに紹介記事を書くのを忘れてしまった。ミステリーは殺人があって犯人を探すとしても、読者に「誰が殺されようといいや」という気持ちにさせては、読まれない。
 トリックの解明も大事だが、それよりも、探偵役のキャラクターと文章表現に工夫が不可欠である。その表現技術を磨いて高めた末に、純文学にまで上り詰めた作家は多い。ハードボイルドのダシル・ハメットの文体はヘミングウエイに影響を与えたとされ、村上春樹はチャンドラーに学んだ痕跡がある。
 もともと、ミステリーは当初はともかく、文芸を楽しむ英国人の優雅な精神から流行したもので、日本でも江戸川乱歩は、谷崎潤一郎なみ、松本清張は菊池寛なみなど、基本は文章技術の錬磨したからできた作品が多い。現代文学の行き詰まりを突破するという精神で、新しい文体への挑戦を期待したい。
 本作品にもそのような兆しが見えるものの、いかんせん作者がそれに無意識なのが惜しい。
〒414―0031伊東市湯田町7‐12、リバーサイドヒグチ306、木内方、 岩漿文学会。
 紹介者「詩人回廊」北一郎。


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