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2014年5月29日 (木)

霞んで見えない時代に=北一郎のパノプティコン状況

「パノプティコンとは、イギリスの思想家、ジェレミー・ベンサムが考案したとされる刑務所の管理形式で、しばしば「一望監視施設」などとも訳される。」「詩人回廊情報化社会の思想と主体(5)」で山川豊太郎が言及している。
 「囚人たちを収容する監房は、パノプティコンにおいては、環状に三六〇度に渡って配置されており、その中心部分に、監視者が勤務する看守塔がそびえている。監房は完全に外界から隔離されており、囚人同士が互いに言葉を交わしたり、その存在を確認したりすることが禁じられているのはもちろんのこと、自身を監視する看守塔そのものも、特殊なブラインドによって目にすることができない(当然、一方の看守からは、囚人たちの様子は、それこそ三六〇度に渡って、常時、丸見えの状態にある)。」
「フーコーが強調するのは、このシステムにおいて監視者は、理論的には、看守塔に常駐している必要性すら、本当は不要であるという点である。」
 人間というのは、自分が世界を知っていると思っている。その世界は、自分だけの世界解釈であることを意識することは、普段はない。私は、外国に行ったことがない。アメリカもアフリカ行ったことも見たことないから、それらの国が存在しないかもしれない、とは思わない。多数の情報を与えられて、自分でそれらの国があるにちがいないと確信している。こうして自分の意識でまとめたもの。それが私の世界なのである。
 権力者が命令しなくても、わが国の島に外国が無断で侵入したとか、日本の悪口をいったとかいうニュースを流せば、国民は自主的に戦争の準備を容認する。それは自然なことであるが、自然なように見えるのは、パノプティコンの囚人であるからなのだ、という自意識を起こさせるのを文芸の自己探求の作用としたいものだ。

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