デジタル化と本の市場=原石発掘「紙で出版」も
セルフパブリッシングが始まり、多くの作品が世に出始めた。けれど、そこから優れた作品を見つけ出す鍵を握るのは、私たちネット利用者だという。著者も自分だけで本を仕上げ、宣伝もしなければならない。可能性は広がった。あくまで自己責任の上に。実に現代的な可能性である。
「デビュー」果たした十市社さん、「作家志望者にはありがたい場」
「賞には落ちたが、精いっぱいやった作品だったので、生の反応がもらいたかった」。十市さんがKDPを選んだのは、ある新人賞に落ち、行き場をなくした作品が手元にあったからだった。それに手を加えた。
《電子書籍 自作発表の場に、原石発掘「紙で出版」も》(読売新聞5月15日)
最初の反応はツイッターで。絶賛され「返事を打つ指が震える」ほど感激した。やがて思いがけず東京創元社から紙での出版を提案されたが、1月ほど保留した。「紙で出して初めて、作家デビューだと思う。それには書き続ける覚悟が必要」と考えたからだった。「やるだけやろう」。そう決意すると、編集者のアドバイスを受けながら再度、原稿をブラッシュアップした。
紙で出して分かったのは「今はまだ紙が優位ということ」。紙で出してから多くの編集者から執筆依頼が来た。とはいえセルフパブリッシングの可能性を否定しない。「不特定多数の人に読まれると思って原稿を直すうち、自分の何かが変わった。作家を目指す人には、ありがたい場です」(文化部 村田雅幸)
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