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2014年5月30日 (金)

「2014外狩雅巳の世界」(東京)=作品紹介(投稿)

 「2014外狩雅巳の世界」(文芸同志会)が送られてきて、文芸同志会通信に批評を投稿して欲しいというので、書きました。
【外狩雅巳「偽りの日々」】
 この本には、いくつかの短編小説と著者の作品「28歳の頃」に対する北一郎氏の評論が載っている。どうすれば採用してくれるのかを、本サイトの主催者に聞くと、読んでみたくなるような紹介文がベスト。どうせ自分の金でだしたのだから、第3者が悪口をいう筋合いではないので、読んで他人が参考になるようなことで軽く済ましたものなら良いーというので、出してみます。
 【火を盗む者】ギリシャ神話の中に人類に火を与えたとしてプロメテウスはゼウスから罰せられる物語があります。火を与えられた人類は発展し繁栄したのですが果たして現在の繁栄は良かったのかと思わせる作品です。資本主義の価値観に捉えられ袋小路にはまり込んだような21世紀。幸せとは何かと考え込みました。
 【隠れ住む男女】作品は過激な学生運動が盛んなころに結ばれた青年たちの後日談として進みます。男は官憲に追われています。オウム真理教徒が長期潜伏後に逮捕されたニュースをヒントにして書いた作品だと思います。安易さがあります。男女の情愛が読者を引くと考えその描写に多くを割くが、通俗表現も多く工夫が足りないと思います。
【引用文】北海道の高岡啓次郎氏がフォークソングの歌詞の引用を捉え作者自身の言葉で書くようにとネットで評しています。そこは作品の盛り上がりが有ったのでは無いでしょうか。私はそれよりも歌謡曲からの引用が通俗的だと思いました。―曇りガラスを手で拭いてぇあなぁた明日が見えますかァーと「サザンカの宿」のイントロをベタで書くのはどうかとも。
 【通俗好きな作者】冒頭の女が買い物中に落ちていた小銭をくすねる部分は将に作者が通俗を意識し読者を惑わそうと見え見えですね。硬直した学生運動用語・政治用語との対比がアンバランスです。読者の作品との向かい合いを妨害しています。他の作品ではユーモアを交えた表現も行う作者が主題に正面から向き合い余裕の無さをカバーするように見えました。
 【本当のテーマは】作者は過激派学生運動思想に共感しているような感じです。ニューヨークのビルへの航空機追突テロ事件や革命史の書き方です。ロシア革命批判は過激派学生思想・革マルを見本にしているようです。赤軍派などの行為に寄り添っています。
 作者の本音はこれが書きたかったようですね。安保闘争の挫折からの資本主義繁栄の歳月を否定したいのでしょう。
 【失われた歳月】プロメテウス神話からの人類史が歪曲された失われた二十年。それが作者の意図なのでしょう。負け犬の遠吠えですね。レーニン主義で日本革命の展望を説いた共産党とトロッキー主義で暴力革命を支持する全学連運動の歴史が書きたいのでしょうか。蜂起主義が挫折してからの歴史を偽りの歴史と書きたいのがこの作品の主題ですね。しかし成功しているとは言えませんね。
 【火を盗む者】誰でもいいから殺したいと追い込まれる若者。小銭を溜め込み年金生活に逃げ込んだ高齢者。戦争が出来るように法を変える国。政治は小説のテーマに成るのでしょうか。火を盗んだのは誰だ!と考え込まされた題材なのに通俗表現で薄まった作品でした。(紹介者・川藤健一)

追記=紹介は、これでいいのか。北一郎はこの作品をどう読み替えるのか。この会への入会希望などをコメントで問い合わせいます

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