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2014年4月16日 (水)

文藝誌「なんじゃもんじゃ」花見号・通巻17号(千葉県)

【「代役」杵淵賢次】
 主人公の神門守次は、ある日、公安からの連絡で、自分と同姓同名の警察官がオーム真理教の関連宗教団体アレフの団体に入って、潜入調査をしていることを知らされる。そこで、アレフの関係にそれがわかって、同名の主人公が狙われる恐れがあるという。神門はかつて那須の別荘の工事人にアレフ関係者が入り込んでいたことで、公安と接触があったらしい。そこから公安検察の捜査に巻き込まれる。
 実際の事件とフィクションをからませているが、内容はフクションである。公安とアレフの潜伏活動の応酬が陰で行われている出来事に関係させられた市民。作者の目の付けどころが面白い。現代社会の表と裏の、不可解で曖昧な不気味な部分をなぞるような話になっている。
 現代人は、社会のどこかに見えないものが意図的に隠されているのではないか?という疑惑に取りつかれているというか、思いたがる傾向に見合った題材である。
【「ジャスミンの鉢―S町コーヒー店・第16回(最終回)」坂本順子】
 行きつけのコーヒーショップに客として入って、そこで他の客やマスターとの会話や様子を観察。その人たちの人生模様や生活態度を描くという設定で、16回も連作して最終回まで書き切った。安定した力量で、最初の企画段階ですでに成功を約束されたようなものであったかも知れない。
 NHKのテレビでも、これに設定が似たようなドラマ「珈琲店の人々」というのをやっているようだ。製作者は、3カ月や半年は、面倒な新企画を考えないで済むようなものを持ちたいと思うのであろう。制約のある設定はその点でかえってやり易さがある。脚本家の交代も利く。そういうものに対応できるような企画物を同人雑誌で読むとは思わなかったので、特筆した。
〒286-0201千葉県富里市日吉台5-34-2、小川方。なんじゃもんじゃの会。


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