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2014年2月14日 (金)

外狩雅巳氏(投稿)一年間の活動発信の意義と到達点

Sotogari_gaido_2 昨年一月より文芸同志会通信で発信を続けた意図と現時点の総括を行います。年間の纏めは「外狩雅巳世界ガイド2013ガイド」でした。
 大きく三つに区分けしました。文芸同人会の現状紹介・自作紹介と北一郎評・体験中心の創作態度姿勢に意図発信の三点です。
☆ プロレタリア文学への意見の真意
 これまでの体験談的作品群を北一郎評では「労働者階級における社会改革を目指し、その現状を判り易く象徴的に伝えよう」とプロレタリア文学の創作方法で書いたことによる文学的悲劇と指摘しました。その有効性は過去になった問題意識としても指摘しました。
 真意を書きます。小林多喜二作品の再評価に対しての指摘と自作の創作意図を絡めた発言を行いたかったのです。
 体験した職場では労働の誇りが築けない中で結集しない労働者を多数見聞しました。自身も働く意味と誇りを持てずに終始しました。
 その過程で労働運動に入り理想を模索して来ました。共産党の指導に期待もしました。現実とのギャップに足掻きつづけました。読んだ多喜二作品には当時の状況と展望が書き込まれていると理解しました。「蟹工船」ブームへの違和感を冒頭に書きました。
 現代読者が労働者の展望を読まず、内容を自身の環境に引きつけて共感しただけのブームへの失望を書いたつもりでした。
 「党生活者」等の作品には組織化と意識向上の先にある展望が人物や事件により詳しく描写され宣伝性のある構成になっています。
 多くの読者を持ち、それらが革命に共感し参加するような導き方の背後に共産主義を血肉化した作者の力量があったと思います。
 その再来を期待した現代の労働運動者たちの一人が私でした。しかし、現状を描写すれば展望の無い職場と闘争しか書けません。
 学習し革命が働く者の未来に明るい展望を示すものと信じました。労働者階級の組織化と闘争を行い描写に苦心した私でした。
 「蟹工船」を解放と革命への確信の展望に繋がる作品として読んだ私と、文学作品として同感して読んだ現代の読者との落差。
 その苛立ちを書いたのです。マルクスの言葉をもじりました。今回の二度目のブームは出版社利益になっただけだと書きました。
 体験記も戦わない労組に苛立ち過激な学生運動に惹かれた事実を作品にしました。爆弾闘争の学生運動の末路も書きました。
 そして、現代の労働者文学を支える新しい思想を渇望する文面をウェブに書いたのです。紙に定着させ「外狩雅巳世界ガイド2013ガイド」として出版しました。
 自分史としての体験記ではなく作品にするためには基盤の思想が欲しかったのです。
でも、それは見つかりませんでした。
 体験の作文しか書けない自身にも苛立っています。時代と拮抗しない事を書いても満足できません。筆が止まってしまいました。
 現状を全部吐露しこれまでの姿勢から撤退する事にしました。新たな主題と意義を探します。ふさわしい文体も確立したいと思います。
 北一郎評での悲劇は理解しています。それでも過去の思想に寄って立った長い作文生活を清算するにはそれなりの苦しみが有りました。
 「外狩雅巳世界ガイド2013ガイド」の発行は総括になりました。そして今回の捕捉で自身の納得も深まりました。
■関連情報=暮らしのノートITO≪外狩雅巳のひろば≫「詩人回廊」≪外狩雅巳の庭

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