2013年度「推薦同人誌作家」第二位は和泉真矢子さん
この欄での推薦作家第二位は、「メタセコイヤ」(〒546-0033大阪市東住吉区南田辺Ⅱ-5-1、多田方、メタセコイヤの会)所属の和泉真矢子さんにしました。同人誌「メタセコイヤ」を初めて知り、まだ紹介記事を書いていません。10号「微かな音」で和泉さんのものを読みました。物語には幾つかの伏線が張られており、しかもありふれた素材のホラーに仕上げた創作精神に注目しました。同時に同人誌作家特有の傾向も残しており、この作品は出来の良くない方ではないか、と判断しました。そう考えると、作品の前段で千枝子と母親の葛藤のところで、母親がつっかけを千枝子に向かって投げつけて怒るところの、説明と行為描写を同時にして話の進行の効率を上げる技は、語り部としての天性の素質とみて、期待しました。中ごろの曖昧さと定石的描写の微妙なところも、ここでは効果をだしているのは、意図的か偶発的か不明ですが、語り部の勘の良さであろうと判断しました。この話の薄気味悪さは、登場人物の関係のあり方の表現力からくるもので、それをべたに通俗で大衆性のある霊と結びつけたところは、非文学時代の中に切り込む道具として、最後の抵抗になるのではないか、と期待します。企画を達成させる腕力もある。
その他、「石榴」の木戸博子さんも考えましたが、すでに新聞で文芸エッセイを書かれているようなので、パスです。
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