外狩雅巳「自分説話」は、路上パフオーマンス
詩人回廊「外狩自分説話」が一段落した。これは、ネットサイトという形式があるから書いたようなもので、同人雑誌向けには書かなかった筈のものである。書く場所がスタイルを引き出すという事例であろう。
もし、これが同人誌であったら、ただ自分をアピールするだけのものと、否定するところもあるかも知れない。しかし、ネットでは自分のことについて知って欲しいという気持ちで書くのは自然であり、同人誌の下手なエッセイや小説よりもずっと面白く読める。実際に読者数が増えた。世間は、個人の身の上話に興味を持つ。
それが、同人誌で発表することと異なるのは、不特定の誰かに語るという路上パフォーマンスの要素である。おまけに発表する前に、編集人がまず読んで、公開性に問題があれば変更を提言する。そこで、発表の前に編集人のいることを意識する。
作者はプロレタリア文学の手法を取り入れている。それで作風はメッセージ性をもつ。読む対象が決まっている。その対象を理解しない人には縁がないので的外れな感想が出る。もっともその対象であるプロレタリアートという概念はもうない。同時に文学からメッセージ性が排除されるようになった。私自身は、誰に向けて何を言いたいのかわからない作品を否定をしないが、それを書くならそのことへの自意識が必要であると考えている。
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