著者メッセージ: 酒井順子さん 『ユーミンの罪』
ほのかに色気づいた十代半ばから二十代にかけて、私の青春はユーミンと共にありました。舞い上がった時も、落ち込んだ時も、そして醜い感情が渦巻く時も、常にユーミンはぴったりのBGMを用意してくれたものです。
歌の中でユーミンは、何でも許してくれました。男をとっかえひっかえするのも楽しい。でも、「男より仕事」だってOK。女性の生き方に幅広い選択肢が生まれる時代に、その全てをユーミンは肯定してくれたのです。
「何でもアリ」というその姿勢は、私達を励ましました。が、調子良く練り歩いてる時にふと思ったのは、「これでよかったのか?」ということ。「何でもアリ」の結果、我々は果たして何を得たのだろうか、と。
「ユーミンの罪」は、バブル崩壊時までのユーミンのアルバムを聴きほぐしつつ、ユーミンが女性の生き方に与えた影響を考えた書。ユーミンって本当に罪深いんですけど、そこは惚れた弱みで、どうしても嫌いになれない
んですアタシ。……ということで。 (酒井順子)(講談社『BOOK倶楽部メール』 2013年11月15日号より)
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