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2013年10月30日 (水)

文芸同人誌「海」第二期第10号(太宰府市)

【「海神」有森信二】
 中学生の健治少年は、葉煙草栽培農家の長男で弟がいる。家業があると長男は、家内労働力として親からあてにされる。親にしてみれば、義務教育を出たらすぐ家業に精をだしてもらいたいわけである。父親は、高校へ通いたかったが、その父、主人公の祖父が若くして急死したため、進学をおきらめ家業を継いでいた。そういう経験があって、健治の進学を認める。健治には、同級生の留美子という恋人がいて、その思春期の恋愛が描かれる。
 強い筆致でバランスよく、戦後日本の経済成長期前の青春が描かれている。同じ作者が「幸福の歌」を執筆して、これは現代における経済成熟期における家庭の姿と青春を描いている。ここでは主人公の性格に時代性を反映させて描く。有森作品をすべて読んだわけではないが、自分の印象では、次の作品に伸び代を期待させるようなものがあるように読める。これが作家精神の若々しさによるものであるらしい。「海神」の終わり方にもそれが見える、集中力をもって作中に入り込む力が強い。もっともこれはほかの同人誌にみられる作風との相対的比較の上であるが。
紹介者=「詩人回廊」編集人・伊藤昭一

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コメント

海の作品を御紹介いただき、感謝申し上げます。海も私も途上にあり、模索段階にあります。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。有森

投稿: 有森信二 | 2013年11月 4日 (月) 00時01分

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