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2013年8月19日 (月)

時代に流されて~外狩説話とゼロ世代の想像力

  手帳がないので、家で失くしたと思っていたが、どこを探してもでてこない。どうも外をほっつき歩いていた時に、胸ポケットから落としていたのに気付かなかったらしい。そうであると、それはだいぶ前だ。間抜けなわが身に嫌気がさして、やる気も失くしてしまった。だが、きょうの新聞に亀山郁夫氏が、ある人の座右の銘の言葉を記していた。「永遠に生きる者のごとく学び、明日死ぬ者のごとく生きる(ガンジー)」というのだ。なるほどと思い、またすこし調べて勉強してみた。
  人間の社会全体の流れというのは、実際には目に見えない。それなのに時代に合うとか、遅れるとか、まるで何かが実際にあるように考えてしまう。人は、ついつい、先のことを考えて何かよい対応をしようとするのだが、いつも何の考え浮かばず、また今度にしようと思い、先送りをしているのが常なのではないだろうか。いや、これはわたしだけの、話かも。しかしそれも、頭のよい人が、先のこと考えると、いろいろ目に見えないものが思想となり、時代の流れのようなものがあることを教えてくれるのだ。そして、我々はその流れに巻き込まれているらしい。
  ≪「詩人回廊」の外狩雅巳の庭≫には、そうした先人の社会思想を学んだ経過が記されている。彼が18歳の時に、わたしもそうであった。その1960年には、社会党の浅沼委員長がテロルで刺殺された年だ。まもなく東京オリンピックが開催されるというので、町の区画整理が始まっていた気がする。この時期はマルクス主義思想があって、社会は歴史的に発展する仕組みになっていて、段階を踏んで、より良い社会になっていくと信じられていた。マルクス主義には、ものごとを解釈するだけの哲学から、行動して現実を変えようという思想があった。
 しかし、1995年以降のアメリカの9・11テロ事件のあたりから、ーー技術がいくら進歩しても、結局のところ破壊され崩れてしまうではないかーー、努力しても無駄だよ。親は大人になって、なにかを成し遂げることを期待するが、そんな期待に答えたくないーーこういう気配が若者のなかに生まれ、引きこもり世代になったのではないか。この視点で、社会の姿を読もうしたのが、宇野常寛「ゼロ世代の想像力」という本であるらしい。その精神の代表的な表現物が、人気アニメ「新世紀ヱヴァンゲリヲン」なのである。パチンコ遊戯でも、碇シンジが父親の作ったロボットを操縦して、宇宙からの侵略者と戦うのはある。そのうちにシンジは父親の指示に従って働くことを拒否するようになる。成果を上げないと認めてくれないのなんていやだーーというのだな。そしてシンジは恋をする。恋人の彼女なら、成果を問わずに自分を愛してくれるのではないか。そうあって欲しい、と思うのだ。

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コメント

伊藤さん、昔のこと初めて語るのを読みました(共感)
私は昭和13年生まれ。安保のあと2年ほどお寺に入りました。精神的混乱を癒すためでした・・。wobbly

投稿: 根保孝栄・石塚邦男 | 2013年8月21日 (水) 08時58分

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