鶴川健吉さん「小説は先が見えない。簡単に納得できない」行司3年半余り
作家・鶴川健吉さん 行司の経験3年半余り
相撲の行司修業をする若者を描き、芥川賞候補にもなった作家の鶴川健吉さん(31)の『すなまわり』が、文芸春秋から刊行される。
おそるおそる土俵で声をあげ、はだしで動き回ってかかとがひび割れる。若者たちの汗が目に浮かぶような異色作は、賞こそ逃したものの、「見たものを見たように、感じたことを感じただけ過不足なく書けるのは、りっぱ」(山田詠美さんの選評)などと評された。
テレビで相撲を見るのが好きで、中学時代は授業中、ノートの余白に力士のしこ名を書き、家でスクラップを作った。背が伸びなかったため力士ではなく行司を目指し、高校を中退して相撲界に入門。「式守健太」を名乗る。
「でも、将来が見えるような気がした」。3年半余りで行司をやめ、大検を受け大阪芸大に入学。卒業後はコマーシャル製作や映画の撮影現場、温泉旅館などの仕事を転々とし、2010年に文学界新人賞を受賞してデビュー。 「小説は先が見えない。簡単に納得できない」。アルバイトの傍ら執筆を続けている。(2013年8月20日 読売新聞)
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