詩の紹介 「きみはもう歳をとらない」 北原 溢郎
「きみはもう歳をとらない」 北原 溢郎
きみはもう/歳をとらない/きみは僕のなかで変幻する/僕は若くなる
ふたりは/紀伊半島の/知らない海岸の砂浜にいる/大きな足跡/小振りな足跡砂浜につづいている/そして/きみの足跡が消えてしまった
きみはもうもう歳を取らない/もう/こんなにも歳の差が大きくなってしまった
「松本詩集」第十四号より(2013年 6月 松本市 松本詩人会)
紹介者・江素瑛(詩人回廊)
麗しい少女少年の時期であったのでしょう。亡くなったきみに捧げる詩のようです。記憶の永遠なイメージに胸に潜めた愛おしさと無念さ。「歳を取りたくない」と人々よく嘆きますが、人間は死ぬまで歳を取る、死んだ後、悲しくも歳を取ることができなくなる。人はやはり生きて歳を取りたいものです。ああ、年々歳々、歳を取ってゆく人々よ、感謝しましょう。
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