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2013年6月 6日 (木)

続・関東同人雑誌交流会の最新情報= 外狩雅巳

 関東同人雑誌交流会では、 「まほろば賞」の交流会選出作品用として五作品が用意され三時間かけて合評した後投票を行った。秋の本選は各地方からの作品と競うことになる。
 昨年9月17日の本選の様子は雑誌「文芸思潮」48号に掲載されている。前回も今回も大半はレアリズム描写の作品である。今年の文学界新人賞候補作品中一作のみがレアリズム作品だとの事だが正反対の状態である。ファンタジーやライトノベル(ラノベ)に馴染んだ応募者が多いのが商業文芸誌賞の特徴となっている。
 いかに生きるか、生きているのかを細部を抉りながら書き連ねる作品が関東の同人誌作品には多い。高齢社会になり現実は重く暗い、それをリアルに描く。
 世間では同人誌と言えば、若者のラノベ同人誌を指すのだが(伊藤補足=同人誌というのが、コミックの漫画のことを指します)私たちの中では文芸同人誌と頭に文芸をつけて区別し正統派を主張している。
 私の所属している(相模文芸クラブ)も高齢者が多くファンタジー作品の掲載も無い。時代と向き合い生きて来たと自負し主題にしている。
 なので、現実離れしているものや超越した作品を読み考え討議する場を持たないで来た。それなりに仲間内での同人誌としてそれなりに盛り上がって来た。
 多くの同人誌も閉鎖的に仲間内での盛り上がりで続いて来た事であろう。そこからさらなる学習と交流を目指し今回の会合への参加者は視野も広く熱意も強いと思う。が、討議されるテキストはレアリズム小説である。よくぞ書いてくれたと同感し評価しての選考なのだ。描写を評価しているのだ。
 しかし、会合に参加した文芸同志会の伊藤昭一氏はここへ波紋を起こした。ラノベの説明から始めて実力派のプロ作家が多数書いている事。ライトノベルがわかりやすく図式的な構成でストーリー性を強くする事で多くの読者・主に若者層を獲得している事を強調した。
  生き様に向き合う高齢者作家の文芸同人誌に投げかけた波紋。
  テキストから離れると討論も空回りするので伊藤氏と参加者との議論は深まらなかったが交流会の今後への意義ある問題提起になれば良いと思う。
 個別の同人誌の枠を超えて多数の参加者があれば問題意識を共有する広がりも大きくなるはずである。三年間の交流会で一度は顔を見せた人は延べ数で約百人だ。
 文芸思潮誌の売り上げの為の選考と思ったのか。自会の作品が対象にならないからか。参加者はいまいち増えてゆかない。
 反面、親睦に徹する(文学街)集会は参加費五千円にもかかわらず全国から多数の参加者がある。文芸趣味の高齢者には深く熱い議論はむかないのだろうか。工夫が必要ではないか。
以前に私は交流内容の討議で下手な作品未熟な作品の合評をと提案したこともある。
 同人誌内で低く評価された作品も広い場で再討議すれば作者も参加するかなと思ったのだ。各会の運営や編集などの実務の経験交流もどうか、など考えた事もある。工夫して多くの同人誌が再度参加する場になってほしい。
≪参考:作家・外狩雅巳のひろば

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