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2013年5月 3日 (金)

野間宏の未発表中編小説を「週刊読書人」が連載

 野間宏の未発表の中編小説「狙撃」が「週刊読書人」に連載されはじめた。これは元中央公論社の水口義朗氏が50年近くも保管していたものだという。その経緯も水口氏の解説に記されている。どうも1961年に中公が深沢七郎の小説『風流夢譚』をしたのがもとで嶋中社長宅が襲撃された事件があった。その余波で、水口氏の前編集長がこの作品の掲載を保留し、そのままになっていたらしい。それがなぜ「週刊読書人」に掲載されることになったかも読めばわかる。これは興味が尽きない。自分は野間宏を読むことがなかったら、小説を書いたかどうかわからないほど、影響を受けている。
 野間宏は戦後「暗い絵」で、横光利一や葉山義樹の新感覚派の手法を発展させ、そのご「真空地帯」や「さいころの空」で資本主義の現実を追求した作家である。プロレタリア文学における面白さが必要とする発想を継承し、資本主義社会と人間追求について、全体小説というジャンルを目指した。「真空地帯」は一種のミステリー小説であり、また世界的にはドイツにおいては、日本の軍隊の本質をもっともよく描いたものとして、分析的に読まれていたものである。

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