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2013年5月21日 (火)

散文「文芸の友と生活」(北一郎)の周辺(2)

 この作品の中身は、私より九歳年長の友人で、江戸川乱歩の主宰するミステリー雑誌「宝石」に新人二十五人集としてデビュー。二度ほど作品を発表していた川合清二氏との交際を描いた。この新人二十五人集には、木枯し紋次郎の小説で有名な笹沢佐保がいた。川合氏は作家への道を志したが、会社経営に乗り出したことで作家にならず、「グループ桂」同人として活動。78歳で亡くなっている。川合氏の追悼の意味で書いたものであるが、「グループ桂」の編集者から、近年は提出作品が少ないので、出来るだけ長くしてといわれていた。そこで、ただの追悼文というより、散文的小説のようなスタイルを作ってみようと試みた。散文なら終わることがないように出来ると思ったからだ。その初回は「詩人回廊」の「伊藤昭一の庭番小屋」に連載形式で途中まで掲示している。なぜ途中までかというと、そこから先は北一郎の生活が少し描かれているからだ。追悼であるから、「グループ桂」同人以外の人には必要がないと考えたためだ。それを3回連載したが、伊藤桂一先生は、長いのは歓迎しない意向のようである。
 北一郎「文芸の友の生活(三)」「グループ桂」67号掲載作品の伊藤桂一氏の論評
 「北さんは川合氏追悼の文章を、こころゆくまでつづけて来て、彼も地下で喜んでいることでしょう。私も当時は彼と似た投書生活をしているし、流れ流れに生きてきたのでよくわかります。 生き方を少し踏み外すと、終生元に戻らない。
 川合氏は、それにしてもあくまでがんばったし、その気魄と生きカの事情が、これ以上には書けないくらいに詳細を尽くしています。
 それにしても北さんも面倒みのよい、親切な人ですね、川合氏よりも、その後ろ側にみえかくれして、北さんのことがよく見えてきます。あなたも短編をよく書いていたし、この連載で川合氏と別れたら、また、壮快な短編をはじめてください――」つづく。

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