« 穂高健一講師の描写解説に関連した話 | トップページ | 西日本文学展望「西日本新聞」2月28日(木)朝刊/長野秀樹氏 »

2013年3月 3日 (日)

同人誌「日曜作家」創刊号(大阪・茨木市)

 「日曜作家」という同人誌は以前からあるように思ったが、それは個人誌でその方が亡くなったことで、友人たちが同名の同人誌を発行したものとある。
【「優雅なるトマトケチャップ」①甲山羊二】
 1980年代の下宿暮らし大学生のキャンパスでの恋。恋した彼女には先生の彼氏がいた。それでも複雑なのが女子大生の女心。結果的に男心を翻弄する。そのいきさつが超ロマンティックな筆法できれいに描く。スイートメモリーそのもの。これで十分完成度が高いと思われるが、連作だという。
【「小説・編集後記」妻永二】
 なんのことかと思って読んだら、自らが参加している同人誌「北回帰線」についての散文であった。小説はどう書いてもいいというような考えがあるようだから、これも散文小説として面白い。作者は道路・橋梁設計事務所いて建設の専門家であるという。工学理論に詳しいが同人誌に掲載できないのが残念そう。こういうのが面白い。じつは私は、何年前かにタンカーや橋梁の設計に必要な荷重負荷バランスを計測する会社の動向記事を頼まれた。ある社長に取材したら、「あなたもご存じのように、地球上のエネルギーは6分力の方向にあるので、それが建造物にどう働くかがわからないと設計ができません」という。「ええっ、そうなんですか。知りませんよ」と聞いてびっくりしたことがある。
 文中に同人誌に「仕返し合評」があるどうだが、仕返しでもなんでも読んでいるのだから、いいのではないか。
【「雲流れる・連載一回」大原正義】
 山上憶良の遣唐使派遣員の話。貧乏と酒の歌は知っていても、歴史的な存在意義は知らなかったので、解説的歴史小説として楽しめた。
なお、「日曜作家」では、当誌掲載と副賞5万円の「日曜作家賞」を公募している。
発行所=〒567―0064大阪府茨木市上野町21-9、大原方。日曜作家編集部
(紹介者「詩人回廊」伊藤昭一)

|

« 穂高健一講師の描写解説に関連した話 | トップページ | 西日本文学展望「西日本新聞」2月28日(木)朝刊/長野秀樹氏 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 穂高健一講師の描写解説に関連した話 | トップページ | 西日本文学展望「西日本新聞」2月28日(木)朝刊/長野秀樹氏 »