詩の紹介 「カザグルマ」山崎夏代
カザグルマ 山崎夏代
回る 回っている 虹色の雲/くるくると 回っている 誇らしげに華やかに
/ 風と一心同体です/ 風を助け 風を起こしてもいるのです/ この風の渦が遠くに走り/ 嵐になっているかもしれない
いいえ ほんとうは 回されているのです 風に/風の一部だなんて 妄想です/風が止まれば 安物のプラステック/ピンクとブルーの飛べない翼は/ごみと埃に傷ついて/みじめったらしく 沈黙するのです/どこかが嵐であったとしても それは お前とかかわれないこと
(季刊 詩の現代 4号第二次により 2013年3月-群馬県富岡市 詩の現代の会Ⅱ)
紹介者・江素瑛(詩人回廊)
カザクルマの妄想というか「私」の儚い夢というか。見えない風の存在を際立たせています。
神社や寺の水子供養に飾られてある列の風車を思い起こされる。人としての人生が始まろうとして無残にも絶えられた水子、せめて人間世界の子供の玩具
に託して、たまに風とともにお墓に叩いて、風の行方と人生を偲ぶのでしょうか。
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