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2013年3月17日 (日)

著者メッセージ: 森村誠一さん 『人生の究極』

 エッセイ集『人生の究極』は、作家としてゴールなき永遠の途上にある私の究極の理念(ビジョン)でもある。作家にはゴールはない。創作という卵巣に蓄えた卵を作品として、卵巣が空になるまで産みつづけていく。前に産んだ卵を、次の卵は超えなければならない。
 作家に定年はない。生命ある限り、創作しつづけるのが作家の本来であるが、それに前作を超えなければならないという宿命を背負っている。
 加齢と共に作品が衰えたとしても、少なくとも前作に劣らぬ作品を産みたいという姿勢を保ちたい。
 定年は組織の制度の都合上考案された人生の区切り点であり、本人の意思によるものではない。年齢と共に知識や技術が蓄えられ、社会に十分貢献する能力が残っていても、強制的に区切り点を打つのは、能力の死刑ともいえよう。
 創作芸術は統率された組織や集団に所属することなく、作者の寿命と共に作品を発表できる。寿命は本人にとっても予測できない。
 となると、創作芸術に限らず、定年によって区切り点を打たれても、第二の人生に向かって可能性の限界を追求できる。医師の宣告があっても、的中するとは限らない。人生の未知数は定年の有無に係わりなく、平等にあたえられる。老、若にかかわらず、予測不明の寿命の途上、未知数を追いつづけることが究極である。
 究極のない人生は、単なる生存であり、そこに存在はしていても、存在感はなく、生きているとはいえない。
 このエッセイ集において、人生のさまざまな究極を追い、そして手(またはペン)の及ぶ限りを集めてみた。   (森村誠一)(講談社『BOOK倶楽部メール』 2013年3月15日号より)
≪参考:暮らしのノートPJ・ITO 森村誠一講演「人生と小説」

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コメント

森村誠一さんが好きなのは、人物もですが作品の登場人物の個性でしたね。

人物描写が実に巧いのです。箸の上げ下げ、歩き方、体型など何気なく人物の個性を暗示するびょうしゃですね。
( ̄ー ̄)ニヤリ

投稿: 根保孝栄・石塚邦男 | 2013年3月17日 (日) 21時53分

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