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2013年3月16日 (土)

同人誌「文芸中部」第92号(東海市)

【「うさぎの椅子」西澤しのぶ】
 安アパートで独り暮らしをする井上隆に突然、東日本大震災の被災地から電話があり、姉一家が被災し、おぼろという姪だけが助かり、おぼろが親戚である井上のところに世話になりたいというので、引き受けて欲しいという。この辺から、この話の現実性なさが出ていて幻想小説という印象を与え始める。実際、かなり長い話が続き、書き手にとっても読み手にとっても、いわゆる癒しを主体とした小説形式。
 突然やってきた姪おぼろのために、いままでの自分の部屋を提供し、同じアパートの安い部屋に住む。隆の生活はおぼろの自律のために尽くすことに変る。二部屋分の家賃やおぼろへの生活支援のため、会社で禁じられている夜のアルバイトなどもする。猫や小鳥のペットを与えることで、なんとか幸せになって欲しいと、努力するがおぼろは彼の望まない道に進んでしまう。偶然やエピソードには、唐突さや通俗的な手法もあるが、重苦しく夢のない現実から逃れる時間を過ごす読み物になっている。
【狂言「御深井焼き」三田村博史】
 お宝なんでも鑑定団の影響で骨董ブームが続くが、これをそれを揶揄し、うんちくを楽しむ内容。名古屋弁がこんなに狂言に相性がいいとは、まった気がつかなかった。これを証明する発見的創作。
発行所=477-0032東海市加木屋町泡池11-318、三田村方。
紹介者「詩人回廊」伊藤昭一。

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