年賀メッセージ: 今野敏さん
(講談社『BOOK倶楽部メール』 2013年1月1日号より)
あけましておめでとうございます。デビュー三十五周年というのは、なんとも中途半端です。これは、「あと十五年頑張って、五十周年を祝おう」という意味だと思っています。十五年後には、七十二歳になっています。その年まで生きていて、願わくば、小説を書き続けていられたらと思っています。三十五年前は、学生でした。それからいろいろなことを経験しましたが、一度たりとも小説家を辞めようと思ったことはありませんでした。この先も、ないことを祈っております。三十五年間、小説を書き続けてこられたのは、やはり周囲の助けがあったからだと思います。一人では何もできません。『欠落』の主人公、宇田川もそれを痛感しています。心を許した友人の一人が近くにいない。今、ここに、彼が、あるいは彼女がいてくれれば、と思った経験は誰にでもあるはずです。大切なものが足りない。『欠落』は、そういう物語です。(今野敏)
『欠落』は、1月7日発売予定です!
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