フリーマーケットで自ら販売してきた作家・赤井都さん
豆本作家として文筆家の地位をここ数年で確立してきた赤井都さんは、それ以前から各種文学賞の予選通過者として、大手出版社の純文学編集者の間では注目されていた。彼女はわたしが第1回文学フリマで出会った時には、それ以前から、街のフリーマーケットで手作り著作本を販売し、買ってくれた人の意見を聞きながら、それでも創作センスを変えずにファンを作っていた。その時の出店づくりですでに実売で実績をつくる体制ができていた。文学フリマ主催者の大塚英志氏も買いにきていた。
経歴には、建築・都市計画専攻の在学中より「すばる文学賞」最終候補(1998)、実業之日本社「チャレンジ公募勝ち抜き1000字小説合戦」グランドチャンピオン、薄井ゆうじ特別賞受賞(1998)、月刊全国誌に書評連載(1999-2000)等ライター活動、「群像」「文藝」「オール讀物」等、純文学・エンタテイメント分野の小説公募予選通過歴多数を経て、2002年より個人誌制作販売を始める。
このころから、日経流通新聞で時代にマッチした実益と趣味活動の取材にきていた。地元のNHK千葉放送局もきて、わたしもライブドアのPJネットニュースで取り上げた。
その後、 2006年、ミニチュアブックソサエティ(本拠地アメリカ)の国際ミニチュアブックコンクールで、独学で初めて作ったハードカバー豆本で日本人初のグランプリを受賞し、2007年連続受賞。独創性が高く評価された。
豆本という本の形態から内容まですべてを自分でつくる喜びに全力を挙げる生き方は、たまたた売れる作家になっただけで、たとえ売れなくてもその姿勢はかわることがないように思える。
この後、製本を本格的に習い始める(むろん、ふつうサイズの本のレッスンしか存在しなかった)。2009年池袋コミュニティカレッジ・ルリユール工房「入門」修了。2012年現在、西洋伝統的手製本(ルリユール)の「パッセ・カルトン」と、本の壊れ方を学び修理する「書籍の修理と保存・実技」を受講中。
2006年より個展、グループ展、ワークショップ講師多数。豆本朗読会、豆本がちゃぽんを主催。現在、豆本教室を産経学園銀座おとな塾、ヴォーグ学園東京校、NHK文化センター横浜ランドマーク教室、池袋コミュニティカレッジでも開講。ノウハウを惜しみなく伝授している。
著書『豆本づくりのいろは』(2009)、『そのまま豆本』(2010)河出書房新社。2007年よりMiniature Book Socity会員、東京製本倶楽部会員。2011年より日本豆本協会副会長。
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