俳句詩 伊藤博良「城山散歩」を読む
津久井勢 いざ出陣ぞ 夏嵐
笹の葉を 掴む空蝉 武将塚
古き代の 見えぬ城址は 霧の中
柿ひとつ 城主の墓に 供えあり
古戦場 塚より 昏れて 虫しぐれ
逝く秋や 城山にある 落城記
首塚や 荒野の果てに 冬日落ち
☆
これは同人誌「相模文芸」第25号(相模原市)にあるもの。本誌は地域風土を強く意識させる雰囲気の作品が多い。地域以内読者を意識しそれをばねに書くということは、これからの同人誌において重みを増すと思う。発行所=相模原市南区古渕4-13-1、岡田方「相模文芸クラブ」。
俳句は世界的に短詩として知られ外国人俳人も多い。ここでは、五七五のリズムをとった6行詩に読める。詩精神では、詩情とか抒情を、行を変えることで成立させている。そこにないものが、あるように感じさせるのが情感のもとで、これはうまくいっている。わたしは、今年の夏この城山に行って、散文にしている。≪参照:暮らしのノート「散策」≫これは味気ないが、文をつづけて抒情、叙事があれば散文詩になる。細かく書くよりも「城山散歩」のように、詩のほうが全体を直感的に表現できる場合が多い。
紹介者「詩人回廊」北一郎
| 固定リンク
コメント