詩の紹介 「君にすすきを」 問林岩雄
「君にすすきを」 問林岩雄
友よ 君にはすすきが似合う/どこにでもある/目立たぬ草だが/僕はその華やぎを知っている/いちめんの尾花が/秋風になびき/金色の夕日に輝くさまは/まさに息を飲む光景だ
きまじめに生き/実直に勤め/金や名誉に縁のなかった君には/なによりすすきがふさわしい/訪れる人の少ない/君の墓の前に/手に余るすすきを/いく列にも並べ/吹く秋風に/なびかせよう
(問林岩雄詩と文・評論「あなた」より2012年10月大阪市北区竹林館)
紹介者・江素瑛(詩人回廊)東南アジア生息する野原の雑草すすき、土のあるところ、どこにも見える弱そうでありながら強い草である。秋に咲く尾花が、秋の風情、中秋の月見にかかせないものです。
すすきは芒とも書く。微かに静かに確実に輝くもの、まさしく君のような人生である。「手に余るすすきを君の墓の前に」、友人のことをよく理解している作者の気持ちがうかがえます。
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