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2012年12月25日 (火)

同人誌「R&W」第13号(長久手市)

【「迷羊(ストレイ シープ)」渡辺勝彦】
 東日本大震災のボランティアを福祉大学のゼミでやることになった小川三四郎が、関西から被災地に出かける。地道な話かと思わせておいて、現地で突然タイムスリップし、明治時代の三陸津波大災害のあった次元に行ってしまう。意外な展開でSF小説になっていく。それが面白い。半村良を思わせる。その時代のずれのなかでの物語としてのつじつま合わせが自然でよい。常に謎を残して話を意外な展開にもっていき、2弾、3弾の仕掛けもあって、面白く読んだ。調べたことがよく消化されていて、大変感心した。「匠」の手腕である。
【「最短三話(赤紙)」富士君枝】
 60歳になると召集令状がくる。何かと思うと、原発事故のメルトダウンした原子炉の始末に300年かかっているが、それで治まらず、ひと手不足で召集される話。「60歳以上の人は現場に行って欲しい」といった菅元総理の話の延長である。菅直人氏は、日本の政治家で権限で原発を稼働停止にしたただ一人の人物だが、現在は反菅勢力にけなされているようだ。
【「牢獄の魔鳥」萩田峰旭】
 夢とタロット占いのオカルトの世界を描く。小説的には明瞭さに不足があるが、感性が独自なので面白く読んだ。なにかすでにあるものをつぎはぎしたような感じがする。それも時代に合ったセンスがあるからできるので、資質を活かして、細部に磨きをかけるといいように思う。ただ、講師がおられるのに自分がこんな自己流の感想を言っていいのかしら、とも思う。
発行所=〒480-1179長久手市上井堀82-1、渡辺方。
紹介者「詩人回廊」伊藤昭一

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