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2012年11月14日 (水)

荻 悦子 詩集「影と水音」(思潮社)を読む

 表題の「影と水音は」どこかの庭園の人工の池に水が音を立て湧いている情景から導入されている。そこに金属の球体があり鳩が遊ぶ。現代のメカニックな具象イメージの世界と行く先を問う言葉が、微細な心象イメージを形成する。
「鳩は/樹に飛び上がった/枝から枝に移り/芯のない球体に移る/まだらな影の一部分となる/あるいは/空洞に影を吸われる」「小枝は?」「球体の真中/今ここの/欠けた/映らない部分/水の音は絶えない」「どこへ行こうか」
現代メカニックの具象性が呼び起こす想念を整然と浮かびあがらせ、ああそうであったかと気付かせる。
旅先の風景や昔の出来事の想起を軸に、整然とした形式を保って全体がまとまっている。初出一覧を見ると「雨期」「現代詩図鑑」「るなりあ」の4誌で、「詩集にあたり、ほぼすべての作品を改稿した」とある。それだけのことはあって、言葉が洗練され整った印象を受けた。
(紹介者・北一郎「詩人回廊」)

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