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2012年10月10日 (水)

詩の紹介  「枯れ野」 山崎夏代

「枯れ野」   山崎夏代
なにも なにも 欲しくない とは/わたしが/わたしにつく 嘘/霜を呼ぶ
風が吹けば/一瞬に 凍ってつく 花野
いつも 今 を/いまを だけ 生きてきた/野末の果ての もがり笛/そこまでを みきわめにいく気もない
見ない そう言い捨てて/走り去ってきた/枯れ野は闇を吐き出すのである/大地を絡め取るために
走る わたしのズボンにコートに/絡み付く花の種/季節を終わらせる花野は/情熱をひそやかに時間に委ねる
今日は 五月 なのだ/初夏の日差しのなかで/わたしは わたしの冬を生きている/霜の降りた花野を
てのひらに山盛りの 冬の初めの種たち/五月の大地に 撒き散らす/わたしの自慰
詩誌「流」37号より(川崎市・宮前詩の会)

紹介者・江素瑛(詩人回廊
 常ならぬ世に生きていくには、いまの時間だけを大切にすることしかない。明日は明日の風が吹く、晴れる日も、雪雨の日も、与えられた今日の時間を生きるのです。足に付いてきたその野花たちの種を手で撒き散らすことは、自然の緑の世界に、何かの変化を及ぼすのでしょうか。その後の流れは時間に委ねて、神の仕業に任せてしまうのです。

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コメント

詩の紹介していただいてるのは良いですね。
それぞれの詩人の言葉選びの感性が伝わってきます。

投稿: 根保孝栄・石塚邦男 | 2012年10月20日 (土) 13時05分

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